「ゴジラ」「ゴジラの逆襲」

 あなたが初めて映画館で観た映画はなんですか、と問われたときに正確に答えられるでしょうか。
私の場合は、かすかに記憶があるのは、時代劇「大菩薩峠」です。たぶん4〜5歳の頃に父親に連れられてみたのでしょう。ストーリーも何にどんな映画がも知りませんが、この「大菩薩峠」がかすかに記憶に残る生まれて初めての映画です。しかし、記憶があやふやなので、間違っているかもしれません。
次に、自らの意志でこの映画が観たいということで観たのは「キングコング対ゴジラ」(東宝)であったと思います。小学生低学年の頃です。

 この映画と二本立てであったのが加山雄三若大将シリーズの一作でしょう。ゴジラや若大将映画は小学生の子供に大きなインパクトを与えました。
 おそらく日本の同時代の多くの子供たちにとっても同じでしょう。その後、ゴジラ映画を何本か見ましたが、むしろ若大将シリーズ加山雄三のスクリーンでの活躍のほうが記憶に残っています。
 最近、日本映画専門チャンネルゴジラ映画特集が始まりました。
 第一作の「ゴジラ」(1954年作品)と第二作「ゴジラの逆襲」(1955年)を観ました。もちろん当時のリアルタイムでは観ていません。第一作の「ゴジラ」は、過去にテレビで見たことがありましたが
第二作の「ゴジラの逆襲」は、今回初めてです。
●第一作の「ゴジラ」。
 21世紀の今日の日本や世界を予言した映画です。
ビキニ環礁での核実験で起きた第2福竜丸船員の被ばく事件がこの映画のモチーフになっていて、核の恐ろしさをゴジラという怪獣をシンボルにしてみごとに描き出しています。
 主役は、怪獣ゴジラなのですが実は、二人の科学者が陰の主役です。
 水爆にも耐えた生物の解明を主張する科学者を
東宝映画、とくに黒沢作品の名優として名をなした志村喬が演じています。また、もう一人の若き科学者は、みずからの科学的発見が戦争兵器につながる危険性を感じ、心の葛藤が描き出されています。
 東日本大震災や最近のSTAP細胞騒動
原子力や医療分野での、科学者を取り巻く世界は、
魑魅魍魎が跋扈する、常人には想像しがたい世界であるといえますがその危険性をこの映画「ゴジラ」は、描き出してくれています。
●第二作の「ゴジラの逆襲」。
ゴジラ映画作品の中では、あまり注目されず地味な位置づけですが大変興味深い映画でした。
映画は「水産会社」が舞台になっています。
主役の一人が、これもその後の東宝映画、黒沢作品で活躍する千秋実です。水産会社の飛行機乗りを演じています。水産会社だから船乗りではないのか、なぜ飛行機乗りなのか、というのは純粋な疑問だと思いますが実は、漁業と飛行機は密接にかかわっています。水産会社、たとえばこの映画では大洋漁業が、映画協力をしています。あの大洋ホエールズ大洋漁業です。
 水産会社は、軍事や諜報と深くかかわっていたというのがこの「ゴジラの逆襲」で、よくわかりました。
 おりしもマレーシア航空の失踪がニュースで伝えられています。2010年代のこうした現実の動きが
なぜか50数年ほど前の怪獣映画とつながるところが多いことを発見しました。
 いやー、映画って本当にいいものですね。
 サヨナラ、サヨナラ。