アルガルベカップ・決勝進出の立役者は海堀だ

守備の人や組織は地味である。
目立つことはないが、見る人は見ている。
女子サッカーアルガルベカップ
波に乗っていたスウェーデンチームをなでしこジャパンは逆転勝利した。
得点をしたのは、フォワードの大儀見、宮間。
しかし、陰の功労者はキーパーの海堀だろう。
個人技でいえば、サッカーは瞬時の身体の反応である。
11人のプレーヤーの瞬時の動きが勝敗を決める。
キーパー海堀の守備に助けられたなでしこ。
前半終了間際に川澄選手のシュートが惜しくもゴールポストに阻まれた。
しかし、この惜しいシュートが後半の戦いにつながった。
あの2011年のワールドカップの時もそうであったように
なでしこジャパンのチームは劣勢に立たされていてもつねに笑顔である。
1点ビハインドの後半スタートの時の円陣も笑顔であった。
これが平常心で戦える力でもある。
何度も何度もスウェーデン・チームのシュートがキーパー海堀をおそう。
テレビの画面では、その守備は一瞬であり、目を凝らしていないとわからない。
海堀選手の活躍に感謝をしたい。2011年あのドイツ・ワールドカップでのファインセーブを思い出した。
最近読んだ本に『あわいの力』安田登、ミシマ社、2014年刊がある。

あわいの力 「心の時代」の次を生きる (シリーズ 22世紀を生きる)

あわいの力 「心の時代」の次を生きる (シリーズ 22世紀を生きる)

著者の安田さんは能楽師であり、「ワキ方」を演じる。

能には、シテとワキという二人の主要人物がいます。
シテは、面(オモテ)をつけて舞台で華やかに舞い、ダイナミックに飛んだり跳ねたりします。
能といわれて普通の人が思い浮かべるのは、このシテでしょう。
一方、ワキは、面をつけることもなければ、派手に立ち回ることもない。
装束も地味で、目立った活躍をすることもありません。
ほとんどの時間、舞台の上でじっと座っています。

「なぜワキ方なんか選んだのか」などと聞かれたりします。
ワキ方なんか」は失礼ですが、
シテ方には面、笛方には笛、鼓方には鼓という「お道具」がある。
しかしワキ方には何もないじゃないか、そう言うのです。

実はワキ方にも「道具」はあります。
それは自分の身体です。
自分の身体と「道具」として向き合い、いかにつきあっていくか、というのがワキとしての道の歩み方です。
さらにいうと、このことは何もワキにかぎったことではなく、すべての人間にあてはまることです。

ワキの存在を強く感じた、なでしこジャパンスウェーデン戦でした。
そして水曜日は決勝戦です。サッカーの試合を通じて、なでしこの面々はなにをメッセージとして発信してくれるのか、いまから楽しみです。