*[コラム][書評][ネット]アバタロー、専守防衛と貞観政要

*[コラム][書評][ネット]アバタロー、専守防衛貞観政要
今から40年ほど前、私が20代のころに読んだ本が書庫に残っています。大学時代の教科書なども含めて20代のころに読んだ本は9割方、いや9割以上古本として処分してしまっていますので、今も手元に残っている本は何度かの古本処分の試練に耐えてきた愛読書といってよいでしょう。
そして40年の長きにわたって残ってきた書籍は、古典ばかりです。
明徳出版社の「中国古典新書」:呂氏春秋呻吟語、酔古堂剣掃など
徳間書店の「現代人の古典シリーズ」:五輪書菜根譚貞観政要など
が、その代表です。
話は変わって、40年前には存在しなかったyoutube
チャンネル登録していてよく見ているチャンネルは50ほどあります。その中で、一つ一つの動画で教えられることの多いのが
「アバタロー」です。
*アバタローのyoutube動画
書評動画といってよいジャンルに該当するのでしょう。
そのアバタローの動画の中で上記に紹介したものは
貞観政要』です。
唐の時代のリーダーの心得を著した一級品の古典です。
アバタローの『貞観政要』の動画を、昨日たまたま見返しました。
そして、その動画を見たのがきっかけで
書棚にあった徳間書店の現代人の古典シリーズの一冊である『貞観政要』を
読み返してみました。
「創業と守成」の違いなど、現代の政治や企業経営に役立つ知見が詰まった著作です。
長期政権を築いた北条家や徳川家が熱心に参考にしたという名著であります。
徳間書店版の『貞観政要』の翻訳者である守屋洋は、解説文の中で
「草創と守成」すなわち「攻め」か「守り」かについて、将棋の大山康晴氏の言葉を引用しています。
「私の将棋は守りの将棋だといわれているが、この守りというのは、アマチュアの考える守りとは全然ちがう。普通のアマチュアは、相手に攻め込まれて、どうしようもなくなって守りに回る。だからその時はもう手のほどこしようがなくなっている。
私の守りは、相手の攻めの先を読んで対策を考える。そういう守りなんです。ですから、本質は守りでなく、攻めです。」
守屋氏は言います。
「守成といっても、専守防衛ではなく、攻めを含んだ守りでなくてはならないということである。」
今まさに、自由民主党総裁選挙が終盤を迎えていて、さまざまな情報が入り乱れています。
敵基地攻撃や専守防衛についての各候補の考えなども披露されています。
歴史に学ぶ心、意見の異なる者による諫言を受け入れる、人材の登用、帝王の陥穽、学問の効用など、『貞観政要』はリーダーにとっての必読書であることを再認識しました。
はたして、日本国の内閣総理大臣は誰になるのでしょうか?