「シン・ゴジラ」と「風神の門」

遅れに遅れたフォロワーとして「シン・ゴジラ」を観た。
すでにさまざまなメディアで鑑賞評が出ており、ほとんどネタバレ把握状態で観た。
一言で感想を述べれば、見ておくべき映画と言えるが、映画作品としての衝撃は少ない小品か。
アトランダムに感想を列挙しておく。
1)重厚な役者がいなくなった。
1954年ゴジラ第一作では志村喬宝田明河内桃子らのどっしりとした役者たちの演技が光っていたと思う。今作では主人公の若き政治家や総理大臣役、日系米国人女性など、重厚感に欠けテレビドラマレベルのような気がした。
2)皇居はまだか。
たぶん、登場しないだろうな、とは思いつつ、皇居や皇室が表現されることはなかった。現実の事態になれば、最優先課題の一つとなるはず。
3)ゴジラを何に見立てるか
メディアの映画評で多く見られたのは、ゴジラを何に置き換えてみるかということであった。原発事故、中国の脅威、アメリカなど。たたいてもたたいても復活するゴジラ、最後は・・・(ネタバレのため記載せず)。ゴジラは2)の○○ではと連想してしまった。
4)「風神の門」を思い出す
司馬遼太郎の初期の作品「風神の門」は、伊賀忍者の雲隠才蔵と甲賀忍者の猿飛佐助が登場する。甲賀は組織として動き、伊賀は個人として動くなど2者の対比が面白かったが、シン・ゴジラでは組織で動く官僚の姿が描き出されていて、思わず「風神の門」を思いだし、日本の強みと弱みを感じることができた。
5)ベストセラーとは
普段本を読まない人が、話題になっているからと、ある一冊を読むとベストセラーになる。ベストセラー本だからといって必ずしも質が高いとは言えない。映画のヒット作も同じ。わたくしのような特に映画ファンでもない者が久しぶりに映画館で見るのだから。
以上感想まで。