2009-05-01から1ヶ月間の記事一覧

『麺道一直線』勝谷誠彦(新潮文庫)

かつて渡部昇一氏(上智大学名誉教授)は、旅先の駅の売店で購入する文庫本で「ハズレ」がないのは松本清張の推理小説だといった。わたくしにとってのハズレのない本は勝谷誠彦さんの紀行の文庫である。 新潮文庫の新刊『麺道一直線』を読んだ。面白い。味わ…

日本の自画像

世田谷美術館で「日本の自画像展」を観る。http://www.setagayaartmuseum.or.jp/exhibition/exhibition.html 戦後日本を代表する写真家である木村伊兵衛、土門拳、田沼武能や細江英公らの総勢11名がとらえた1945年から1964年までの日本をモノクロ写真で写し…

横浜の下町

横浜の表の顔は、みなとみらい地区や中華街・元町地区ということになるだろう。しかし、こうしたエリアでは、辺見庸さんいうところのマチエールを感じることはできない。とくにみなとみらいはそうである。 京浜東北線の海側がハレの場なら、山側はケの場であ…

しのびよる破局

辺見庸さんの新著『しのびよる破局』は、現代人に重い課題を突き付ける。 われわれはいま、人間的な価値の問いなおしを迫られているのではないか。……もちろん今日食うに困る、寝るところもない人たちにとって、そんな悠長なことをいってはいられないというの…