『英語で「いけばな」』The Book of Ikebana

これは生け花についての対訳本だ。
数年前のある時、英語で花産業についてプレゼンテーションをしなければならなかった時、参考にした。

英語で「いけばな」 (講談社バイリンガル・ブックス)

英語で「いけばな」 (講談社バイリンガル・ブックス)

花のデザインについて触れたものであるが、日本文化についての理解を高めることができる。
そして、下記にとりあげた「取り合わせの7つの基本」は、チームでの活動などビジネスの分野でも応用可能だ。

The Seven Fundamentals of Floral Combination
1.Supplementing Deficiency
2.Homogeneous Combination
3.Heterogeneous Combination
4.Using Color
5.Seasonal Transition
6.Large Blossoms as Unifying Elements
7.Customary Uses

1.は「足りないものを補う」ということ。
早春の辛夷(こぶし)は花どきに葉がない。そこで豌豆(えんどう)の萌えるような若緑と出会わせると、春の予感を感じさせる取り合わせとなる。
2.は、「同質のもの同士で」ということ。
気の合う仲間と一緒にいるとリラックスできるのと同じで、花にとっても同質で相性のいい取り合わせは、花たちが心から楽しいおしゃべりをしているように感じることができる。
3.は、「異質なものと」ということ。
正月、山育ちの松に南国育ちのアンスリユームを合わせたりすると、イベント会場で人びとに新鮮な驚きを与えることができる。
4.は、「色違いで」ということ。
一色や同系色同士の取り合わせは無難で、大きな失敗はない。しかし、異なる色同士を魅力的に取り合わせることができるようになると、花をいける喜びも大きく広がる。
5.は、「季節の移ろいを」ということ。
3月の三寒四温の頃、早咲の彼岸桜の蕾、今を盛りの深紅の椿に、浅緑の貝母(ばいも)の草色を入れると、「ああ、春がそこまで」という取り合わせになる。
6.は、「大輪の花でまとめる」ということ。
同じような草花を活ける時や、シンプルな線状の枝ものを一本すっきりと立ち上げた時など、足元に一輪大輪の花を利かすと線と面の構図で洒落たデザインになる。
7.は、「花と決まりごと」ということ。
行事の花には故事来歴があり、使うべき花材の取り合わせが決められている。決まりごとを踏まえたうえで、各人が創意工夫を重ねたものを描き出していきたい。
こうした生け花の基本から、デザインや組織の在り方を考えていきたいものだ。