グーグルを驚愕させた日本人の知らない日本企業

南スーダンへの自衛隊PKO部隊派遣をめぐっては、国会やメディアで大きく取り上げられましたが、ことの本質を論じるというより、日本国内の与野党間での政治的批判合戦に終始していたように思います。
その証拠に、すでに派遣が行われてしまうと、メディアでもパタッと報道がなくなりました。南スーダンがどのような状況にあるのか以前に、日本人にとってアフリカというのは遠い国で、ほとんど関心を寄せる人も少なく、話題に上るのはマラソンやサッカーでのアフリカ諸国の活躍の時ぐらいでしょう。
さて、今回は南スーダンPKOの話ではありません。グーグルを驚愕させた日本人の知らない日本企業の話です。
インターネットのサイトページビューで、ジンバブエで7位、ザンビアやマラウィで8位などアフリカ諸国で圧倒的な人気を誇るインターネットサイトが実は日本にあります。
アフリカや新興国のサイトでも、トップ10はフェイスブック、グーグル、ヤフー、ユーチューブなど有名な検索サイトやソーシャルメディアです。
しかし、その中に「ビィ・フォアード」という日本企業のサイトがあります。おそらく日本人でも誰も知らないでしょう。
アメリカのグーグル本社で2014年の春に、いつも役員会議で話題にのぼり、とうとうグーグルの副社長自らが来日して、日本の調布市に本社がある「ビィ・フォアード」にやってきたといいます。
ビィ・フォアード社は社員173名のECサイト運営会社で、扱い商品は中古車と自動車部品で、売り先は日本を除く世界という会社です。
顧客の7割は個人客だといいます。日産のカーディーラー、中古車買取業を経て現在社長を務める著者が書かれたのが、

『グーグルを驚愕させた日本人の知らない日本企業』山川博功、講談社+α新書、2016年11月刊。

アフリカをはじめとする新興諸国へ向けた事業展開の軌跡が面白く語られています。
ビィ・フォアードという社名。明治大学出身の社長は、明大ラグビー部の北島監督のファンで、同監督が生涯いい続けた「前へ」という言葉をお借りしたとのことです。小器用にたちまわるのでなく、愚直に前を目指す。正攻法で成功をつかむという思いが込めらています。
著者の山川さんの遠大な夢とは「新興国・途上国アマゾン」を目指すということです。中古車に限らず、パソコンでも文具でも新興諸国に提供していきたい。そのために現在はアフリカに物流施設の構築を進めているとのこと。
マラウイではビィ・フォアード・ワンダラーズというプロサッカーチームを持ち、アフリカで絶大な知名度をほこっています。
ビィ・フォアードのステッカーを付けた日本の中古車に乗ることが、ステイタスシンボルになっている。
社長は本書の最後にこう結びます。
少子高齢化の日本には未来がないと嘆くすべての皆さまに、ビィ・フォアードと呼びかけたいと思います。」