日本人の忘れもの2

著者の中西進氏はいう。「現代人は山と対話しなくなった」のではないかと。
日本人が忘れている、日本文化の力について書かれた「日本人の忘れもの」の第二巻のなかで著者は「山」について語っている。

やま 「山を忘れて平板になった現代人の生活」
むかし、山は生きていた
日本は大半が山におおわれている。関東平野濃尾平野といっても、その大きさは海外諸国の平野にはくらべようもない。
だから日本人は昔から山と深くつきあってきたはずなのだが、さてそのつき合いを忘れた歴史は古い。
第一、日本三景といっても・・・・、みんな海の風景であって、山など完全に無視されている。

この二月は久しぶりに出張で長野、石川、京都そして熊本を訪れた。
鉄道の沿線の風景で私が最も好きなのは、新宿から松本に至るの中央線沿線である。とくに山梨県に入ってからの山と里の風景は都会に住む者のこころを和ませてくれる。
石川県の小松空港に降り立ち、遠く眺める山々は白い雪をいただいていた。
京都は山陰本線丹波地域に向った。山あいを蛇行する列車の車窓から見える山の風景は旅の情緒をかきたててくれる。
また、飛行機の窓から眺める熊本・阿蘇の山々の雄大さも印象的だった。
しかし、列車や飛行機で見る風景は一瞬である。ましてや業務出張であり、資料に目を通さなくてはならず、車窓の風景に集中することができない。山と対話する余裕はない。
じっくり山と対話する時間を持ってみたいと思う。
「日本人のわすれもの2」という本は、京都出張時に新幹線の駅売店で購入したものだ。JR系列の出版社ウェッジが発行している。
思いがけず良い本にめぐり合えた。これも出張の役得のひとつかもしれない。