ウェブ進化論

梅田望夫さんは、ここ2〜3年ネット社会論とでもいうべき分野でもっとも強い影響を受けてきたブロガーの一人だ。3年前はじめてブログというものの存在がアメリカで話題になり始めたということを知ったのも梅田さんのCNETでの連載http://blog.japan.cnet.com/umeda/だった。
これまでの発言の集大成とでも言うべき著作が『ウェブ進化論』(ちくま新書2006年2月刊)だ。発売からまだ2週間ほどだが、すでにベストセラー・ランキングに入るほどの勢いだ。ネット関心層のほとんどが読んでいるのではないかと思われる。
梅田さんのブログhttp://d.hatena.ne.jp/umedamochio/を中心にフォーサイト産経新聞での論述をつねにチェックしている人たちにとっては、すでにこの約1年間に発信されてきた内容のまとめ的な本であるので、正直なところ新鮮な感じはしないかもしれない。しかし、まとめをしていただくことは貴重である。
ロングテールWeb2.0オープンソース、Withdom of Crowds、バーチャル研究室、インターネットのあちら側、チープ革命など、この1年間に登場した重要なキーワードがこの本には詰まっている。
ネット世界に住む若い人たちと、ネット社会が理解できないエスタブリッシュメント層、この二つの分かり合えないグループの架け橋になるというのが著者の願いであるらしい。たしかに世代論で片付けるのは簡単だ。しかし、ネット社会というのは、すべての年齢層の人たちに恩恵をもたらすものであると思う。過去の経験と見識を持つエスタブリッシュメント層がネット社会で活躍ができるようになってほしいものだ、と思う。
梅田さんのこの著書がきっかけとなって老いも若きもインターネット社会の未来を語り合えるようになってほしいと思った。