イナバウアー

イナバウアー

流行語大賞の候補になりうるキーワードがここに来て二つ出てきた。
ひとつは「ガセねた」、もうひとつは「イナバウアー」だ。
荒川静香選手のイナバウアー。人間の生き方というものを考えるとき、職業人生と言うものを考えるときにも深い意味を持つと思う。
あるブロガーは、次のようにコメントしている。

ポイントを気にするあまり、自分の愛着があり、自分らしさの象徴である技を使わなければ、結果自分らしさを忘れてしまって、これほどの成果には結びつかなかったかもしれない、そんな感じさえしてきてしまいます。

http://blog.tokuriki.com/2006/02/post_128.html
フィギア競技のルール変更により、イナバウアーはポイント加算されなくなった。しかし、荒川選手の象徴とも言うべきイナバウアーを捨ててしまっては、自らの存在価値も捨てることになる。一選手として逡巡の後に、この技がフィギアスケートの技術性と芸術性を高めるだけの価値があるという結論に達したことで、荒川選手はこの得意技をフリー演技に取り入れた。
自分が信ずるものを大事にしてアピールする。その評価は運を天に任せる。
ルールに振り回されるのでなく、ルールは尊重しつつ、ルールを超越した価値を生み出す荒川選手の姿勢はすばらしい。
こうしたイノベーターのチャレンジに啓発されて、ルールは新たに変わっていく。それが進歩というものなのかということを感じた。
(画像)asahi.comよりhttp://www2.asahi.com/torino2006/news/TKY200602250152.html