いつまでも飽きずに「米国大統領選・備忘録」

また、大統領選ネタで、そろそろ飽きられるのではないかと思うが、
乏しい能力ではあるが、自分の頭で考え整理しつつあることを、備忘録としてまとめておく。
1)どちらの候補を支持するかと、どちらの候補が当選するかの予測は分けて考える。
2)間接選挙、州別選挙の積み重ねという選挙制度の基本を理解したうえで予測を行う。
3)すなわち国民の投票総数がどちらが多かったかは、最終的な選挙の結果と結びつかない。
4)マクロな(国全体)での世論調査の結果は、得票総数の比率と連動する。
5)勉強不足の論者は、マクロ世論調査の結果で、当選を予測した。メインストリームメディア(MSM)の世論調査
あてにならなかった、という批判が後から出てきているが、実はMSMの予測は大きく外していない。最終得票数はヒラリー候補が上回ったという報道もある。
6)今回の選挙は、MSMでは主要両候補のスキャンダル合戦になった。本質的な両者の主張は、著作、演説などで明らかになっているはず。芸能評論家というと芸を評論するのではなく、芸能人の私生活などスキャンダルを追うのがどの国でも一般的。
政治評論家もゴシップを追うのではなく、政治そのものを評論してほしい。
7)テレビメディアだけでなく、ネットメディア上での映像・コメントは、ますます重要度を増す。
8)信用力は、たえまぬ人々の評価の連続から形成されるが、大統領選の終わった後の振り返りの意見も、当然ながら評価の対象となる。
MSMで活躍される有識者と言われる人々も、選挙前の論説、選挙後の論説できびしい評価にさらされる。言い訳を行う人、論理のすり替えを行う人、せっかく良い予測論考をしたのに、その理由を述べたときの内容がチープな人などいろいろと馬脚があらわされてきている。

そういうお前こそ、エラそうなことをいう割に馬脚を現したな、と批判されないようにしていきたい。

「あなたも国際政治を予測できる!最強兵器としての地政学」

米国大統領選で一貫してトランプ優位を主張されてきた藤井厳喜さんの著書に「あなたも国際政治を予測できる!最強兵器としての地政学」(ハート出版)2016年9月刊がある。
猫好きで涙もろい藤井さんが2003年に刊行した「世界地図の切り取り方」を改訂・加筆した著作である。すでにamazon政治学分野でランキング一位となっている。
本書は常識にとらわれたわれわれの考えを見事にひっくり返してくれる。
たとえば次の絵を見てみよう。これは何の絵か。

瞬時に分かった方は柔軟な頭の持ち主である。
あえて正解は示さないでおこう。

最近、ネット上で次のサイトが話題になっている。
http://thetruesize.com
世界地図が出てくる。左上の検索欄でJapanと入力すると、日本列島に色が付き、それを移動すると、その移動先の地域との面積比の比較ができる。
われわれはメルカトル図法を見慣れている。メルカトル図法は高緯度になるほど、距離や面積が著しく拡大してしまう。たとえば日本よりはるか北に位置するスカンジナビア半島グリーンランドなどは実際より巨大に描かれてしまうのである。

戦略家というのは、マクロの視点とミクロの視点を持つべきだと思う。
マクロの視点ということでいえば、1枚の地図でも右左や上下に回転をさせ自らの位置と他の位置を比較してみる。
ミクロの視点でいえば、特定地域を徹底的に中に入り込んで分析するということである。
マーケティングの分野でもデモグラフィック要因によるセグメンテーションが教科書の最初に出てくる。デモグラフィックとは人口統計的に層別(品質管理7つ道具の一つでもある)に見ることだ。年齢、性別、地域、所得、居住環境、人種、学歴などで層別分析を行うことだ。
マーケティングリサーチにとってこれはイロハのイ。しかし、今回の米国大統領選では、このイロハのイの追及が不十分であった。同じ世論調査結果を見ても表面的なところで終わっていては正確な状況判断はできない。
先のエントリーで紹介した渡瀬さんによれば、クロス集計という調査のイロハすら米国メディアは知らなかったのでは、と一刀両断のもとに語っている。

ミクロの視点でいえば、今回の大統領選は、オハイオ、フロリダ、ペンシルヴェニアが鍵であった。そこでの人々の心を徹底分析し、社会心理学の手法を駆使し、勝利に導く。それが選挙戦略であろう。カリフォルニアなどのリベラルが圧倒的に強い地域にトランプ陣営が力を注いでも何の成果も得られない。これは孫子の兵法にも通づることである。

再び結論をまとめる。
1)視点をいろいろと変えて考えよ。見慣れた風景だけ見てはいけない。
2)層別に分けて、重点エリアを浮き彫りにせよ。
3)重点エリアとなった層や地域について、地べたに這いつくばるように中に分け入っていって情報収集せよ。

ビジネスでも、選挙でも、軍事でもこのことが大事だと思う。

七五三と氏神様

昨日・今日と全国的に晴れの天気のようです。七五三は本来、11月15日に行われるものですが、最近は11月中旬の土日の休日に、神社にお参りする人が多いようです。今日15日は大安でもありますので、神社は結婚式を挙げられる人々でもにぎやかになることでしょう。
七五三は子供の成長を感謝して氏神様にお参りして神職の祈祷を受ける神事をもとに作られました。子供の成長の節目ごとに、子供を無事に育ててくれた神様に感謝をしたのが始まりです。
かつての日本人は、生まれてから死ぬまで一つの土地で過ごすことが多かった。武士社会になると本拠地を離れて移動する領主が出てきて、現代では、一生一つの土地に暮らす人は少なく、引っ越しの連続でしょう。
引っ越しとともに氏神は変わっていきます。最近は神社庁が全国の氏神を規定していますので、ウェブサイトで住所を入力すれば、氏神となる神社名がわかります。
私は約20年ほど横浜市青葉区に居住してきました。区内で一度引っ越しをしていますので、現在は東急田園都市線青葉台駅田奈駅の間に住んでいます。氏神の神社は神鳥前川神社(しとどまえかわじんじゃ)です。
同神社のウェブサイトで由緒が語られています。

当社は文治三年(1187年)五月、武蔵国桝杉城主・稲毛三郎重成により創建されました。
重成は敬神の念篤く、所領稲毛に稲荷社を建立すると共に霊的な夢のお告げを受け、武神日本武尊ヤマトタケルノミコト)及びその妃弟橘比売命オトタチバナヒメノミコト)を御祭神としてこの地に祠を建て白鳥前川神社と名づけたと言い伝えられて居ます。
白鳥というのは御祭神日本武尊が伊勢の国煩野(ノボノ)にて逝去の際、神霊化され白鳥になられたという故事により、また前川とは神域の真下を鶴見川支流の恩田川が流れおり、弟橘比売命オトタチバナヒメノミコト)の入水の故事に重ね合わせて名付けられたものです。それがいつの頃よりか白鳥が転じて神鳥と書くようになり、これを「シトド」又は「シトトリ」と読むようになり、今日に至って居ります。

写真は同神社の本殿と仙元社(せんげんしゃ)、恩田川です。仙元社は生命の象徴とされる霊峰富士をお祀りしているものです。



田園都市線の駅前はほとんどが都市化され商業施設や住宅が密集してきていますが、この神社の最寄り駅である田奈駅は、周辺が田園地帯となっています。恩田川という川が流れていて、川岸には自転車と人のための道が整備されていて、上流に向かうと東京都の町田市に至ります。田奈という地名は「恩田村」「長津田村」の「田」と、「奈良村」の「奈」から付けられ、昭和14年横浜市編入されました。旧・奈良村のちかくには「こどもの国」という施設があります。同施設のサイトから由来を拾ってみましょう。

1959年(昭和34年)4月の皇太子殿下(現天皇陛下)のご結婚を記念して、全国から寄せられたお祝い金を基金に、1965年(昭和40年)5月5日のこどもの日に開園しました。旧日本陸軍田奈弾薬庫補給廠跡の国有地が米軍から返還されたのを受けて、国費をはじめ多くの民間企業や団体・個人の協力で整備されました。次世代を担うこどもの健全育成のための施設で、児童福祉法に基づく児童厚生施設です。

こどもの国は、子供だけでなく大人も高齢者も楽しめる自然あふれる施設です。
ベッドタウンと化した東京や横浜の近郊地域。地元との結び付かいが希薄になっていますが、天気の良い休日には、ふらっと氏神様を訪ねたり遊歩道を歩くのもよいでしょう。
ちなみに、すでに街はクリスマスの飾りつけがにぎやかになってきました。大統領選が行われた米国では、職場や学校で「クリスマスおめでとう」ということすら憚れる風潮があるといいます。特定の宗教を強調してはならないということです。こうした息苦しい雰囲気に反旗を翻したのがトランプ次期大統領でした。
日本では、正月には神社に初もうで、お彼岸には墓まいり、暮れになるとクリスマス、最近ではハロウィンの騒ぎも付け加わりました。八百万の神を、わけへだてなく受け入れる柔軟性、多様性を本来の日本人は持っているように思います。PC(ポリティカルコレクトネス)や言葉狩りが行き過ぎるのは、どうかと思います。

トランプ熱狂、傷ついたアメリカの最強の切り札

ここ数日、米国大統領選に関するコメントを書いている。まだまだ書きたらないことがたくさんある。
●3人のエコノミストの対応
まずは、前々回のエントリーでトランプ勝利を外してしまったと書いた3名のエコノミスト
それは、中原圭介さん、高橋洋一さん、上念司さんの3名である。
中原さんは、結果が出た後、いち早くネット上の投稿で予測を間違えたことのメッセージを正直に伝えられた。そして、この結果により自らが予測している2017年以降の米国や世界経済に大きな影響は与えないと語っている。
中原さんは、近著『経済はこう動く(2017年版)』(2016年11月刊)で、大統領選はヒラリーに収束していくと、冒頭で語っていた。中原さんには『未来予測の超プロが教える本質を見極める勉強法』(2014年刊)や『ビジネスで使える経済予測入門』(2016年9月刊)など、未来予測のプロという意識を持たれているので、専門の経済とは異なる政治の分野とはいえ予測を外したことについて、深く反省をし、真摯に正直にこの結果がもたらす影響について述べられた。
私が中原さんい注目してきたのは、今まで経済分野での予測がよくあたっていたこと、またご本人が文学部歴史学科卒で、歴史や哲学を知ることが未来予測には役に立つということを上記の2著で語られていたからだ。今後の情報発信を見守りたい。
高橋洋一さんと上念司さんは、マスコミでも有名なエコノミストである。Twitter上でトランプ当選を読めなかった要因を今後自ら明らかにしていき、ネット上で発信していきたいと語っている。
当たり前のことであるが、この世界に100%予測を的中させる預言者はいない。だれでも失敗はある。人はその失敗から逃げずに、みずからの予測が外れたことの原因を探り、正直にそのことを明らかにしたうえで、情報公開していくということが、少なくとも政治アナリストやエコノミストの役割であろう。その対応次第で、かの人々に対する信用力は逆に高まったり、低まったりする。
先のエントリーでも触れたが、エコノミストは米国政治の専門家ではない。彼らエコノミストは、米国大統領選の予測にあたり、みずから深い分析を行っていなかったであろう。特定の大学や研究機関の調査を参考にしていたというのは、今までの論説でうかがい知ることができるが、フィールドワークやより深い分析を行っていない。致し方ないといえば致し方ないが、自ら詳細な分析ができないのであれば、信頼のおけるアナリストや調査情報を多面的に検討するなどの方法はあったのではないか。
トランプ勝利を予測した藤井厳喜さんの「勉強が足りない!」の言葉をかみしめるべきであろう。しかし、上記3人の発言の中には、予測をはずした「くやしさ」がにじみ出ている。この負けん気の強さに期待したい。スポーツでも負けて悔しいと思わないプレーヤーは大成しない。
●トランプの主張
そして何より負けん気の強い人物が、ドナルド・トランプである。
2016年の5月に『トランプ熱狂、アメリカの「反知性主義」』(海流社)を著した評論家の宮崎正弘さんは、ネット動画の中で、アメリカ大統領選を取材して次のことを語っている。
書店ではトランプ関係の著作がヒラリー関係本を圧倒していた。各地域の応援演説会では、トランプ候補の会場は満席であるのに対し、ヒラリー候補の会場は数百人程度で空席ばかりであった、という。しかし、マスメディアはヒラリー候補の演説会場の観衆の前方部分を切り取った写真を掲載し、あたかも活況を呈していたような演出を行っていたという。
宮崎さんはまだ予備選のころ、その取材からの帰国する飛行機の中で、トランプ氏の著書
『Crippled America ; How to make America great again』(2015年刊)を読み、トランプの原点は「怒り」であることを知ったという。この本は、日本でも翻訳が『The Trump 傷ついたアメリカ、最後のキル札』(ワニブックス)として2016年7月に発刊されている。
トランプは語る。
「一度何かを決定したなら決して止まらず、投げ出さず、ダウンを取られたらすぐ立ち上がり、勝利するまで戦い続ける。私はこのやり方を生涯貫いてきた。」
同書で語られるメディア、移民と国境、外交、教育、エネルギー、医療保険、インフラ、税金にかかわる主張は、どれもまっとうなもので、「過激な発言」と評されるいわれはないものだ。きわめて的を得た主張といえる。メインストリームメディアが盛んに垂れ流した印象操作、アメリカ国民はそれに騙されなかったといえるかもしれない。
表面的なことだけで、ゼロか100かを決めてしまう風潮は極めて危険である。
ちなみに、日本の大手新聞などの論調を見ると、この期に及んでも負け惜しみを発信しているように見えてならない。反省の気持ちを持たないマスメディアには将来はない。

渡瀬裕弥さんと藤井厳喜さんから教えていただいたこと

前回の投稿でトランプ勝利を予測していたA氏とB氏。
選挙結果を受けての動画が公開されているので
下記にて紹介させていただく。
A氏は、渡瀬裕弥さん
B氏は、藤井厳喜さん
である。

私自身は、
渡瀬さんの論考は、約1年前から注目してきた。
無名の方でありながら、地に足の着いた情報発信をされていると
感じた。

藤井さんについては、藤井昇というご本名でアメリカ政治についてご著書を出されていたころから約30年にわたって注目してきた。
ここ数年は、ネット上で活躍されており、
最近では、茨城県つくばエリアのローカルFM局でみずから
パーソナリティとして情報発信をされるなど多面的な動きをされている。

渡瀬裕弥さんの動画
http://live.nicovideo.jp/watch/lv281465972
渡瀬裕弥さんの過去発言まとめ
http://agora-web.jp/archives/2022569.html

藤井厳喜さんの動画
http://ajer.jp/video/show/a21700442390ceb81733b338de31a978

上記の動画で、藤井さんは一言で語っている。
「なぜ、トランプ勝利が予測できたのですか、という
質問をよく受けるが、それは勉強量が違うからです。」
と。

藤井さんは、10日付の日経新聞産経新聞の1面記事を
笑い飛ばしている。
日経「トランプショック。社会分断、危うい大衆迎合」(日経ワシントン支局長・小竹)
産経「未知との遭遇。国際社会動揺」(産経ワシントン・青木)
何をバカなことを言っているのか!ということである。

学者、研究者、評論家、コンサルタント、経営者、政治家、ジャーナリストなどは言うまでもないが、人の世は言論の積み重ねが信用を形作る。
今回のアメリカ大統領戦を通じて、言論人のスクリーニングが進むであろう。

かつて谷沢永一さんは、著書『人間通』(新潮選書)の「評判」の項(42〜43ページ)の中で
「人間の値打ちを定める最終の決め手は評判である。…人の世は評判の市(いち)である。」
と語っている。

私も無名の人間であるが、こうしてFBやブログで情報発信する以上、襟を正していかなければと思った。

米国大統領選での事前予測意見について

米国大統領選でトランプ候補がヒラリー候補を破って勝利した。
ふだん、私自身が政治・経済・社会の分野でネット上(ブログ、SNS,ネット動画)で注目している論者が30名ほどいる。
その中で、米国大統領選について事前予測などの情報発信をしてきた論者は10名ほどいた。
以下、その10名の事前予測意見をまとめてみた。
●トランプ勝利を予測した論者 5名
A氏
・A氏は、政治アナリストで民間企業経営者であり私立大学研究員も兼ねる。
・今年の春の段階から、ネット上で最も深く大統領選予測を行い、異彩を放っていた。
・その分析は、今から考えればオーソドックスである。州別に予備選の結果、今までの大統領選の結果を整理しトランプ優位を予測した。
・テレビ討論を経ても、議論でヒラリーが勝ったということは認めつつ、討論でヒラリーが勝ったからこそ、トランプ優位と述べた。弁論大会ではないのだから討論自体の優劣は、結果には直接結びつかない。
B氏、C氏、D氏
・この3人は国際政治と国際経済の評論家ともいうべき人たちである。
・書籍やネットを通じて、トランプ勝利を自信をもって予測していた。
E氏
・E氏は最近注目されていて雑誌媒体で活躍し始めた政治評論家である。インテリジェンスに詳しい。アメリカ国内の政治状況に詳しく、A氏同様に深い分析を行っていた。
クリントン勝利を予測した論者 5名
F氏、G氏、H氏
・この3人は、エコノミストである。経済分析の予測力は高いが、今回は情報源が限られていたようで、特定の調査、とくに東海岸の大学情報などをベースにしていたようで正確な予測ができなかったようである。
I氏
・東アジア情勢に詳しネット上で詳細な分析を行う政治論者の一人。
J氏
親中派でユニークな活動を行うネット上の人気ブロガー。株式の値動きから予測を行っていた。
以上の10名である。
A氏とE氏を除く8名は、私がほぼ10年ほど著作やネットで注目してきた論者である。
結局、エコノミスト系ではなく国際政治系の論者の予測が正しかったようである。
なお、この10名は、いずれもトランプに勝ってほしい、ヒラリーに勝ってほしいという願望で意見を述べておらず。客観的な分析に基づいて予測を行っている。
私自身は結局、次のようなことを米国大統領選で感じた。
1)米国のテレビ・新聞情報は全くあてにならない。
2)世論調査は参考にはなるが、これもあてにならない。
3)米国大統領選独特の州単位での票読みが大事だ。
4)日本のマスメディアは、ほとんど米国メディアの受け売りで、あてにならなかった。
5)日本の論者の場合、政治でも経済でも正確な予測が行えるのはマスメディアに登場する学者やコメンテーターなどの有名人ではない。
6)論者の長年の情報発信の内容から、これはという信用のおける論者を見つけ出し、そうした複数の論者の意見を集約しながら、みずから判断をするのが一つの予測手法である。
とくに、米国政治など、一般の日本人は深いオリジナル情報を入手できないので、信用のおける専門家の意見に参考にしないといけない。
7)自らは保守系だから、リベラル系だからといって、あるいはトランプ支持だから、ヒラリー支持だからといって、自分に都合のよい耳障りの良い意見だけに注目するのではなく、ことなる意見の論者にも注目する。そのことによって、比較の中で正しい方向が見えてくる。
8)トランプ勝利を予測した5名は、その予測が当たるか外れるかは、当人の信用に大きく影響を与える。いずれも大学教員やシンクタンクなどの組織に属していないので、予測の真剣さが違う。自らの予測内容に強い自信があることが感じられた。
と、いったところ。
忘れないうちにメモとして記しておいた。

古事記の宇宙

古事記の宇宙』竹内睦泰(たけうち・むつひろ)著が11月3日に発刊された。
すでにamazonランキングでは歴史・地理の部門で1位となっている。
https://www.amazon.co.jp/dp/4792605709/
竹内さん(通称むっちゃん)の存在を知ったのは1年半ほど前に見た、ネット人気番組「チャンネルくらら」での倉山満氏、藤岡信勝氏との対談動画であった。
第73世・武内宿禰にして、代々木ゼミナールでの人気ナンバーワン日本史講師を何年も続けた鬼才(奇才?)である。
竹内さんは新著の「はじめに」で語っている。

日本人は古事記を知らない。
古事記は日本の根本を書いたものである。
そして宇宙と自然の叡智が凝縮してされている。

竹内さんは、最先端の物理学が、今、やっと古事記の描く世界に追いついてきたという。
宇宙理論のインフレーション理論・ひも理論と古事記との相似性、
また
DNAのらせん構造と出雲大社のしめ縄の相似性についても語る。
竹内さんは、かつての予備校生や一部の人々の間では有名だが、一般には全く無名の人である。
初めて、竹内さんの動画を見る人には「ギョ!この人だいじょうぶ?」と驚かれるかもしれない。

古事記といえば、竹田恒泰さんがいる。
竹田さんのほうは、有名人である。
『現代語・古事記』は、つねに上述のamazonaランキングで
上位を占めているロングセラーである。
地上波テレビ(関西圏放送の「そこまで言って委員会」など)や
有名芸能人との婚約騒動(結局、その後破局し、別の方と結婚され
最近お子さんが誕生したらしい)で有名である。
竹田さんの同著の「序にかえて」では、次のように古事記の意義を語っている。

今、なぜ「古事記」なのか。その答えは、20世紀を代表する歴史学者アーノルド・
J・トインビーの遺した次の言葉に端的に現れている。
「12,13歳くらいまでに民族の神話を学ばなかった民族は、例外なく滅んでいる」
この言葉は、民族の神話を学ぶことが民族存立の要件であることを示唆するもので、
現在の日本人が日本神話を学んでいないことが、どれだけ大きな問題を孕んでいるかを教えてくれる。

竹内さんや竹田さんのように
最近は、博識でユーモアがあって、高貴でありながら庶民的な人が活躍できる時代になった。
人々は、大学教授や評論家、ジャーナリストの肩書を持ちながら、実は中身が空疎な人々に飽きている。
お二人のような、中身のある面白い人がもっともっと出てきてほしいものだ。

秋の夜長、古事記の世界に浸るのもよいかもしれない。