横浜の下町

kohnoken2009-05-05

横浜の表の顔は、みなとみらい地区や中華街・元町地区ということになるだろう。しかし、こうしたエリアでは、辺見庸さんいうところのマチエールを感じることはできない。とくにみなとみらいはそうである。
京浜東北線の海側がハレの場なら、山側はケの場である。それが明確になるのは桜木町の山側の野毛エリアだろう。野毛の飲み屋街は横浜でもっともホットなスポットだと、ひそかに思っている。
曇天のこどもの日に、ケの地域を歩いた。昼前は横浜橋商店街へ。80周年を迎えた商店街には、客足が途絶えることはない。横浜が生んだ世紀のエンタテナー(?)であるミッキー安川氏がラジオにっぽんの番組で幾度となく紹介しているのは、商店街の入り口にある天ぷら豊野(とよの)。ボリュームのある天丼目当てに行列ができる。といっても座席数が少ないので行列ができるのは必然か?
地元住民によれば、商店街の店でも、あたりはずれがあるという。当然といえば当然。はずれと聞いた店には客の姿はない。
今回のお昼は、残念ながら話題の豊野丼は後日の楽しみにして、長者町の中華料理店へ。集まった親類8名と刀削麺(とうしょうめん)が特徴の「華隆餐館(かりゅうさんかん)」へ出かける。刀削麺とは、中国山西省が起源とされる小麦粉の塊を包丁で削いで鍋に入れる調理法が特徴。味は四川料理の店だ。近隣の中国系の人々が多く来店する店だけに、味のほうは間違いがない。独特の触感の刀削麺はなんともいえない深い味わいがある。
ちなみに、この店と道路をはさんで「ラーメン二郎」の店があり、若者が行列をつくっている。
中華の店でお昼を食べた後、吉田橋の田中屋茶店で「ほうじ茶」を購入。伊勢佐木町の旧・松坂屋裏にある茶店では、横浜と伊勢佐木町の盛衰を見てきた生き字引のご主人が迎えてくれる。
開港150周年のヨコハマ。決して派手に表には出ない名店には、あらたな歴史を刻んでいってほしいところだ。
(画像)横浜橋商店街の入り口