思い出:コペンハーゲン空港を走る!

まだ夜が明けきらぬ冬の早朝、最近はBS12チャンネルのヒーリングタイムを視ることが習慣化してきた。世界の美しい風景とクラシックを中心とした音楽だけの番組である。本を読みながら、PCに向かいながら、仕事の準備をしながら、部屋の整理をしながら、うとうと横になりながら…http://www.twellv.co.jp/program/documentary/healing.html
今日の番組ではベートーベンの音楽とともにデンマークの風景映像が流れている。デンマークは一度だけ乗り継ぎで国際空港(現地ではカストラップ空港と呼ばれることが多い)に降り立ったことがある。それも走りながら。後にも先にも空港であんなに長距離を全速力で走ったことはない。2007年の出張の時である。最初の訪問地であるスウェーデンのストックフォルムを訪ねるために東京・成田空港からフィンランド航空でコペンハーゲン乗り継ぎを予定していた。成田搭乗の際にFIN航空の従業員ストライキで搭乗時間が遅れる旨のアナウンスがあったことでいやな予感はしていた。そしてコペンハーゲン到着は1時間遅れた。ストックフォルム乗り継ぎはぎりぎりなので急いで走ってくださいと客室乗務員から告げられた。
走った。全速力で走った。時刻は夕刻である。初めて訪れたコペンハーゲン国際空港、少々古い空港の感じがした。空港を行きかう人々をかき分けて走った。息が切れた。しかし、そんな空港風景は一瞬に過ぎ去っていく。乗り継ぎ搭乗口に着いた。わずか5分の遅れで間に合わなかった。
はてさて、あらためて考えてみると飛行機に預けた荷物はどうなったのか。それから預けた荷物を受け取るのに時間がかかり、もうスウェーデン行の飛行機はない。明日は朝から大事なストックフォルムでの企業訪問がある。
コペンハーゲン駅に隣接する鉄道の駅からスウェーデン第三の都市であるマルメまで在来線に乗り、夜11時ごろ発の寝台急行でストックフォルムに早朝到着する鉄道があることを突き止め、マルメに向かう。デンマークスウェーデンの結ぶ橋が当時できたばかり。たぶん1時間から2時間の在来線の鉄道の旅だったと思う。通勤の帰りの時間帯であったので車内は混んでいたのを思い出す。
日が暮れるころにマルメ駅に到着した。当然、この出張旅行に予定していなかった場所である。どんな都市なのか、まったくわからない。ストックフォルム行きの寝台車の時間までは、たしか3〜4時間ぐらいあったと思う。夕食の時間である。駅の周辺を歩く。レストランはあるのだが、どこも当時おどくほど高いと思った。気軽なオープンテラスの店でも日本円で4,000〜5,000円したように記憶する。2007年はユーロ高の時期だったと思う。何件か廻ったあとに唯一ファストフード的な日本円1000円程度の店にもどってみようと思ったら、すでに時間で閉店していた。結局記憶をたどるとスタンディングバーのような店でビールと簡単なつまみを食べたのだといくことを思い出す。
そして、夜も更けたころ寝台車に乗り込む、日本でいうところのB寝台、それしか切符が取れなかった。重いスーツケースを抱えて車両に乗り込むとき、足がつった。アクシデントというものは重なるものだ。あのコペンハーゲン空港での猛ダッシュ中距離走が原因だったと思う。おそらくその時の私の形相はあの福岡国際マラソンの川内選手の苦しい顔だったのか、それとも普段の川内選手の明るい笑顔だったのか・・・
スウェーデン第三の都市から首都への夜行列車、B寝台の際下段、つった足の痛み、眠ることができず、携帯電話でストックフォルムで合流する同行メンバーとのメールでのやり取り…、そして白々と明るくなってくる車窓をみながらストックフォルムの駅に到着し、タクシーでホテルへ向かう。無事、合流メンバーとも会うことができ、すぐに朝食をとる時間もなく訪問先へ向かった。
その思い出が、今朝の早朝のテレビでの画面から蘇ってきた。
(関連ブログ)
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