起業の成長論

安倍政権、第3の矢の成長戦略が政府から声高に叫べれても、なかなか次世代を切り拓く成長企業、大企業の中から生まれる新たな成長事業が生まれてこない。
DIAMONDハーバードビジネスレビューの最新の8月号は、「起業の成長論」を特集している。
巻頭では、リンクトイン創業者のリード・ホフマン氏がHBR誌編集長のインタビューに答えている。タイトルは「ブリッツスケール:劇的な成長を遂げる唯一の方法」
シリコンバレーが生んだ世界的経営者であるホフマン氏は、スタートアップ企業に欠かせない成長戦略を語る。ネットワークの時代においては、圧倒的なスピードで規模拡大を実現すること、なかでの組織の拡大こそが必要であり、そのためには「ブリッツスケール」が不可欠であると説く。
短時間で企業を築き上げるための理論と実践がブリッツスケール。人材採用の手法などが語られる。ブリッツスケールの最中の組織は、ほぼ例外なく組織内に不満が渦巻く。カオスの状態だからだ。しかし、ホフマンは答える。ペイパル、グーグル、イーベイ、フェイスブックリンクトイン、そしてツイッター。どの会社も空中分解せずにやってきた理由は一つ。目の前で起きていることへの興奮、そして素晴らしい将来像に対する興奮の気持ちだ、ということ。私のいるチームは常識では考えられないことを手掛けているのだから、目の前の不満には目をつぶって働こう、と伝えているという。今の不満を我慢しただけの価値をが生まれるからだと訴える。
その他の論文で、目についたもの
○創業者精神を取り戻せ クリスズック他
大きな成功をした企業が、急激に失速することはよくあること。それは事業が複雑になりすぎたり、官僚主義が組織にはびこり社内が硬直化することで原因であることが多い。しかしそこから抜け出す道は存在する。著者らは成長への再点火のため創業者精神を取り戻すことを強調し、その具体的な手法のステップを示している。
○見ためが能力に勝手しまう時
リーダーの要件として専門性が軽視されている。われわれは権威のありそうな人をリーダーに選びがちだが、専門能力の重要性を強調する。
○都賀改革の核心
25万人を揺さぶり、覚醒させ、B2Bシフトによる未来ポテンシャルの発信を行うパナソニック社長の都賀一宏氏のインタビュー。
雑誌の記事内容のレベルを高めるには編集長の力、インタビューの内容を高めるにはインタビュアーの能力が大きく影響することを本誌を読んで感じる。