中学生向けの起業家育成講座

紳士服専門店のAOKIホールディングズ(横浜市都筑区)は、中学生向けの起業家育成プロジェクトをスタートさせた。横浜市内の中学1〜3年生22名が講義や企業視察、介護福祉施設体験、ビジネスプラン策定とプレゼンテーション、アメリシリコンバレー視察とスタンフォード大での講義参加などのプログラムが組まれている。
http://aoki-entrepreneur.org/index.html
社会人向けに大学や行政が起業家養成講座を行うケースは多い。しかし、取り組み主体の本気度が伝わってくるものは少なく、おざなりの名ばかりのものになっているのが実態ではないだろうか。
横浜のケースは中学生向けである。まだ幼さが残る中学生に果たして起業向けの教育が必要かどうかという批判はあるだろう。しかし、一番頭が柔軟で大学受験勉強などの机上の知識中心で頭が固まる前に、起業するということの意味を知り、目標を持ってもらうことは大いに重要なことであると思う。主催者代表のAOKIの青木会長は「社会貢献の視点を持ってほしい」と中学生の受講生に語った。社会貢献のための企業の重要性を知り、そのための体験を積んで、その後の10代後半以降の知識習得を目指すというプロセスは、たいへん画期的でその成果が注目される。
あの明治維新の志士たちをリードした吉田松陰は、11歳にして長州藩主の毛利慶親に対して御前講義を行ったことが、逸話として有名である。
優秀なる頭脳は10代前半に大きな芽を出すのである。
起業家精神というのは年齢に関係のないものかもしれない。いずれにせよ、ロボット、IT、AI、ヘルスケア、福祉介護、ドローン、新エネルギーなど有望と言われている諸分野で、新産業を創造していくという大きな課題を日本は抱えている。
10代前半の起業家教育こそ真の「エリート教育」ではないのか。
受験勉強に汲々としている高校生、のんびりと且つアルバイトに精を出す大学生たち、企業の歯車の一員になり窮屈な思いをしている社会人たちも、自ら意識改革を行い、新しいものにチェレンジしようとする行動に出てほしいのと同時に、そうしたチェレンジの足を引っ張らないようなサポート体制も本気になって築いていってほしいものだ。