高校生の模擬投票の記事に思う

参議院選挙が近づくにつれ、選挙権年齢が18歳以上になったことにより各地の高校での模擬選挙の様子が新聞で報道されている。
新たな選挙を迎える18歳から19歳の人たちにとって、こうした学校などでの経験は有効で、20歳以上の人たちより増して、選挙に対する関心を強めているのではないだろうか。
この10代の若者たちの投票率は多世代と比べて高まるのではないかと思われる。

さて、気になった記事がある。
産経新聞7月1日付朝刊「18歳からの選択」の記事である。東京都立武蔵高校での主権教育事業の様子が記事となっている。

「・・・模擬選挙は政党に投票する比例代表制で実施・・・生徒たちは支持政党名を記入し、1人ずつ
順番に投票した。緊張からか、たどたどしい動きの生徒もみられた。」

この記事を読んで、椅子から転げ落ちまではしなかったが「えっ!!」と驚いた。おそらく今回の参議院選挙を想定しての模擬選挙の投票のはず。比例代表制には拘束名簿方式と非拘束名簿方式がある。
拘束名簿方式は、あらかじめ政党により名簿順位が決められていて、投票者は政党名のみを記入する。衆議院選挙で採用されている。
非拘束名簿方式は、政党による名簿はあるが、順位は各候補者の得票数によって決められる。投票者は政党名でも候補者個人名でもどちらでも記入できる。参議院選挙で採用されている。

私の疑問は、このことを武蔵高校では、生徒に説明したうえで政党名を記入する拘束名簿方式で模擬投票を行ったのか。しかし、これでは直前に迫る参議院選挙の比例の仕組みと異なるので生徒に混乱を与えないか。

この拘束名簿方式で実際に投票が高校で行われたのであれば、産経の記者は、記事で紹介する際に一言、実際の参議院比例代表では
候補者個人名の記入もできますが、今回の武蔵高校の模擬選挙では、衆議院選挙で採用される拘束名簿方式でおこなわれましたので、間違えないようにしましょう。という注意を記事で促す必要がないか。

まさかまさか、産経の記者も、記事をチェックしたデスクも、基本中の基本の参院比例の投票ルールをしらずにこの記事を書いたのではないでしょうね。

いずれにせよ、この記事を読んだ国民は、参院比例では政党名を記載するのだという誤解をしてしまうのではないでしょうか。
このマスコミの責任は大きいのではと思う。