評論家の名前に値するもの

舛添都知事の話題が下火になっている中で、古市憲寿氏へのバッシングが話題になっている。党首討論の司会者としてのお粗末な態度は非難されても、社会学者としての古市氏の学者としての能力が高ければ、それはそれで評価されるべきである。
実際のところの学者としての評価は著作も読んでいないので、なんともいえない。
一つの動画としてBSプライムニュースがある。ゲストとして古市氏と佐藤健志氏の二人が登場している。司会は反町理氏と島田彩夏アナウンサーだ。
BSプライムニュースは、反町氏のどのゲストに対しても公平に接しているのと、政治でも経済でも、さまざまな問題に柔軟に、かつゲストに中身のある質問ができ、かつ時々は自らの意見を述べるということで好感のもてる番組であると思う。
さて、佐藤氏と古市氏の議論を見た。もう最初の5分で勝負ありである。佐藤氏の圧倒的プレゼンスの前に、古市氏は出る幕がないという感じだ。一般的な知名度では佐藤氏は、ほとんど無名で、古市氏のほうが有名でろう。しかし、学者として、評論家として、論客として、対論をまとめる力として、これは横綱白鵬と幕下力士というほどの差があるように感じた。
http://www.nicovideo.jp/watch/sm23488282
佐藤氏の発言は、一言一言が、今の日本人の心に優しい言葉で、しかしナイフのような鋭利な視点から問いかけてくる。この佐藤氏の主張に、反町氏や島田アナが、なんとか食いついていこうと力を振りしぼる態度。これが司会者の役割だろう。古市氏はゲストではあるが、ほとんど蚊帳の外である。
戦前と戦後について見直す良い刺激になった佐藤氏の発言であった。あらたに選挙にエントリーする10代の人々から団塊の世代と言われる60代後半から70代前半の人々まですべての世代の人々が、この佐藤健志氏の提言を題材に、さまざまなことを考えるべきだと感じた。
佐藤氏のような評論家としての名に値する論客がメディアに多く登場すれば、大手メディアの凋落も防ぐことができるのかもしれない。