産経新聞を読んで:短期志向と長期志向

参院選各党の公約比較
今日19日のサンケイ新聞は、6面7面で各党の参院選公約要旨を掲載している。
衆議院と違って参議院は解散というのがないので、より長期的な視点で国政を考え評価できると思う。したがって、参議院議員には、長期的な視点で日本がどういう方向で進んでいくのか、日本の将来にとって解決すべき課題は何で、その解決策は何かを呈示できる人になってもらいたい。
企業経営者やビジネスマンならだれでも知っている財務諸表。
貸借対照表損益計算書キャッシュフロー計算書。
損益計算書キャッシュフロー計算書が、1年間の実績を示す短期のもの(フロー)であるのに対して、貸借対照表は長期的な視点を考える際の情報をまとめたもの(ストック)といえよう。
長期的視点といえば、企業経営において投資ということは重要な要素である。製造業であれば、将来を見据えて工場投資を行うことは重要な経営の意思決定事項である。たとえばこの投資に10億円を投資したとして、その10億円は貸借対照表には資産(固定資産増加)および負債(全額借入なら借入金増加)で計上されるが、損益計算書には減価償却費として、その一部が計上されるだけである。
もちろんそれぞれ毎年の情報を比較していけば、損益計算書から長期的な視点を導き出すことができるし、比較貸借対照表から短期的な課題を抽出することができる。
また企業の経営意思決定の重要な要素は、金銭的な数値で示される財務指標がベースとなるが、その財務指標を検討する前提として、事業環境変化や、その投資に伴う経営組織のありかたという定性的な情報も大事な意思決定の基礎となる。
国のマネジメントでも基本は同じであろう。
参議院は、その性格からして長期的な視点から議論ができ、将来に向けて日本のあるべき姿を示すような政党や議員に担ってもらいたい。そうした視点から本気になって選択をしていこうという国民が一人でも増えてほしいものである。
●書評欄
話題は変わって、同じサンケイ新聞の書評欄。百田尚樹氏の『カエルの楽園』が、ようやく(?)取り上げられている。
私は、同書を読んでいない。しかし話題の書であるので、各種情報から、おおよそ内容は想像できる。誰しもが考えたことを小説にしたものであると想像する。大騒ぎするほどのものとは言えないと思う。
横並びで、どこの新聞もとりあげることなく、他紙の様子をうかがい、中国軍艦の日本領海侵入があった後で、おそるおそる取り上げてみた、ということか。
このリスクをとることへの臆病なマスコミの姿勢、事件もあったことだし、そろそろいいかなと思って、早めに取り上げておこうというさもしい根性が、見えてしまう。
サンケイ新聞は、まさに「正論」を述べてほしいのだが、現状においては臆病で、世間の様子をうかがい、だれからも批判されない安全地帯で意見を述べているように感ずる。そうした姿勢こそメディア批判の根本のはずなのだが、そのことに気づいていないのか、気づいているのか……