まなびNOBA

関東平野部に、いつもより早い雪が降るのではないかといわれた師走の午後に横浜市港南区野庭(のば)町にある花農場グリーンラブの新しい学びの空間「まなびNOBA」を訪ねた。野庭は港南区とはいえ、磯子区栄区、戸塚区などと隣接する横浜の南部の丘陵地帯にある。
1964年(昭和39年)東京オリンピックが開かれた年、桜木町から磯子まで根岸線が開通した。その後、1970年に洋光台まで、1973年に大船まで京浜東北線はつながる。この沿線は海側は京浜工業地帯の最南端に位置し、山側は首都圏の通勤圏として大規模な宅地開発が行われた。
野庭周辺は静かな農村地帯であったか、鉄道の開発や横浜横須賀道路などの開通で一気に開発が進んだ。そのなかで周囲の開発から隔絶された農村地帯が残されており独特の空間が形成されており、そこに花農場グリーンラブがある。花壇用の苗や壁面緑化用の植物が生産され、東京丸の内のハンギングバスケットを飾る材料として活用されていく。
最近、ここに新たな農と園芸・造園の教育の場である「まなびNOBA」が作られた。植物に触れるという学びの場であると同時に、これからの日本社会の地域、社会、経済、生活、健康、高齢社会、教育を考える場でもある。


http://blog.livedoor.jp/vivo_blog/archives/cat_122520.html
http://www.e-87.co.jp/4_green_lab/lab.html
評論家の日下公人さんは近著の「日本と世界はこうなる(日下公人が読む2014年〜)」の中で、2014年は世界はグローバリズムからローカリズムへと転換すると断言している。

日下公人が読む2014年〜 日本と世界はこうなる

日下公人が読む2014年〜 日本と世界はこうなる

ローカルは地元というのが本来の意味で、田舎とか周辺の意味になるのは、中心やコアが誕生したときその周りにいたもともと劣等感が強い人たちが考えたことである。……
ローカリズムへと世界が変わったその時、土着文明、文化がない人・国・地域はアイデンティティ・クライシス(われわれは一体、何者か)に襲われる。

今、地元を深く知り、そこで培われた百の姓(百姓)を持つ人たちが次代をリードする時代である。
最近話題になっているコンセプトに「里山資本主義」がある。NHK広島取材班と藻谷浩介さん(「デフレの正体」で一躍有名になった?日本総合研究所の主席研究員)がまとめた新書『里山資本主義(日本経済は「安心の原理」で働く)』がきっかけとなった。
そこには中国地方の元気なローカルの事例が紹介され、面白いキーワードが出てくる。

「光齢者」:人生いっぱい経験して、輝ける年齢に達した人
「笑エネ」:笑うエネルギー。エコストーブなどで笑いながら火をおこすと体だけでなく、心も温まる。
「志民」:志を持った人々。行政や政治まかせにするのではなく、人のため、地域のため、社会のために自分で働ける人々。

広島周辺の中国地域の元気な里山で出来るのだから、横浜などの近郊農業でも「志」を持てばイノベーションは可能である。野庭を訪ねて、国に成長戦略を求めるのではなく、みずから成長戦略を創発することが重要だという認識を新たにした。