本多静六一日一話

だれでも座右に置く箴言集はいくつかあるだろう。『本多静六一日一話』は、そのタイトルにあるように一日一話、短いメッセージが366日綴られたものだ。
11月18日の項目で、本多静六は言う。

本多静六一日一話―人生成功のヒント366 (PHPハンドブック)

本多静六一日一話―人生成功のヒント366 (PHPハンドブック)

○夏に冬の準備、冬に夏の準備
いかなる名案も、いかなる努力も、時勢に逆行しては敗けである。表面にあらわされた社会事象から、その逆の動きをみてとることは、時勢に逆行するものではなくて、むしろ、一歩先に時勢に順応するものである。
「好況時代には思い切った勤倹貯蓄を、不況時代には思い切った投資を」とつねづね私が説いているのも、実のネライはここにあって、真夏に冬の支度を、厳寒に夏の準備をといったくらいの明察と、勇気と、実行がなければならぬのである。

本多静六は1866年生まれ。苦学の末に東京山林学校(後の東大農学部)に入学し、首席で卒業し、ドイツ・ミュンヘン大学に私費留学。後に日本初の林学博士になり、日比谷公園の設計などに携わり「日本公園の父」と称せられる。1日1ページの原稿執筆を実践し、生涯で370冊余りの著作を遺した。一級の学者であると同時に、実務家であり、かつ山林や土地の売買で巨万の富を築き、最後は余分の財産をすべて公共事業などに寄付してしまう。
本多静六の特徴は3,000件にも及ぶ人生相談を精力的にこなしたことである。その実践の中から人生論を形作っていった。
本多静六の足元にも及ぶことはないが、私もなんとか、1日1日このウイズダムダイアリーを続けていきたい。