The Book of Tea

いつも思います。年に何度か土曜日や日曜日に自宅からクルマで1時間ほど離れた場所にある墓にお参りに行きます。首都圏から休日の高速道路の朝の下り線は渋滞を起こします。通常であれば1時間で行くところが2時間以上かかることもあります。したがって、早朝まだ高速道路が混まない頃に出かけます。お墓にはまだ日が昇るころに到着します。しかし、問題はお花です。早朝はお花屋さんが開店していません。お墓の近くにある農協の直売所のお花は、種類豊富で鮮度がよく値段が手ごろで良いのですが、朝9時でないと開きません。困ります。対策は二つです。自宅近くのお花屋さんで前日購入しておく。もう一つは当日の朝に花を扱っているコンビニで購入する。

茶の本 The Book of Tea【日英対訳】(対訳ニッポン双書)

茶の本 The Book of Tea【日英対訳】(対訳ニッポン双書)

しかし、なんとなくコンビニで花を購入するといのが気が進まないのです。お彼岸などの時期だけでなく、最近は年中24時間、切花を置くコンビニが増えてきました。高齢化社会を迎え仏壇にそなえる仏花需要が増えたためでしょう。ニースがあることは何でもやるのがコンビニですし、それはそれで利用者を満足させることでもあるので、良いことといえばよいことです。しかし、なんとなく違和感がある、うまく言葉に表せない何かが。そんな思いを感じていたところ、あの有名な岡倉天心の『The Book of Tea』を読み返して、ああなるほど、と思うフレーズに会いました。数年前、谷根千(やねせん)がブームになっていたころ、何度か岡倉天心旧宅跡周辺をぶらぶら歩きしたり、東京芸大の美術展を観に言ったころを思い出しながら読んでいたのが、この「茶の本」でした。
英語の勉強もかねて、英文も書き写します。

 Flowers,if you were in the land of the Mikado, you might some time meet a dred personage armed with scissors and a tiny saw.
 He would call himself a Master of Flowers. he would claim the rights of a doctor and you would instinctively hate him, for you know a doctor always seeks to prolong the troubles of gis victims.
 He would cut, bend,and twist you into those impossible positions which he thinks it proper that your muscles and dislocate your bones like any osteopath. he would burn you with red-hot coals to stop your bleeding, and thrust wires into you to assist your circulation.  
 He would diet you with salt,vinegar,alum,and sometimes,vitriol. Boiling water would be poured on your feet when you seemed ready to faint. It would be his boast that he could keep life within you for two or more weeks longer than would have been possible without his treatment.
 Would you not have preferred to have been killed at once when you were first captured? What were the crimes you must have committed during your past incarnation to warrant such punishment at this?
 花よ、もしお前たちがミカドの国に住んでいるのなら、ときに鋏と小型の鋸を持った恐ろしい人間と出会うことがあるかもしれない。
 その人間は活花の師匠と自称している。自分は花の医者だと主張するが、お前たちは本能的に彼を嫌うに違いない。医者というのは常に患者の苦しみを引き延ばそうとするものだと知っているからだ。彼はお前たちを切り取り、折り曲げ、自分がこれがよいと思う無理な形になるまで細工するが、お前たちはそれを耐え忍ばなければならない。
 彼は整体師のようにお前たちの筋をねじ曲げ、脱臼させる。出血を止めようとして真っ赤に燃える炭火を押しつけ、循環を助けるといっては針金を突き刺す。塩や、酢や、ミョウバン、ときには硫酸までも与えようとする。気絶しそうになれば、煮え湯を足元に注ぐ。こうして自らの手当てによって2週間かそれ以上も長くお前たちを生かしておくことができたといって自慢するわけだ。
 それならば、最初に囚われの身となったときにひと思いに死んだほうがましだったと思わないか?このような罰を受けて当然というなら、前世でどのような罪を犯したためだというのだろうか?

http://d.hatena.ne.jp/kohnoken/20061021
http://d.hatena.ne.jp/kohnoken/20051113