早稲田祭2013

すっかり秋の気配が色濃くなった三連休の初日に、東京都新宿区にある母校で開かれている「早稲田祭2013」に出かけた。卒業して30数年になろうとしているが、卒業後に母校学園祭に訪れたのはこれが2度目である。
学生時代に属していたサークル(早大経済学会)https://www.facebook.com/wkg1915が「目白運動倶楽部」の名前で「フランクフルト・ソーセージ」の模擬店を出しているので、覗いてみる。昼時であったので行列が出来て大繁盛である。学生たちは経済学の研究を活動の中心にしているが、この模擬店出店を通じて、飲食店舗事業の経営、すなわち予算、メニュー開発、価格設定、食材調達、調理器具準備、事務局交渉、現金管理、衛生管理、人材シフト、店舗デザイン、ユニフォーム、接客、ゲスト対応、ゴミ処理など数多くの生きた経営を楽しみながら学ぶことだろう。
そのあと、学生たちの案内で、大隈講堂前でチアリーダーズFALCONSの演技を観て、大隈講堂で早稲田吹奏楽団の演奏を聴く。いずれもナマの迫力とその技量に圧倒された。
https://www.facebook.com/wkg1915
http://sports.geocities.jp/falcons_14th/
http://www.wasesui.net/
2日間で16万人を予定しているという。東京ディズニーランドのシーズン休日のピークが1日8万人であるから、その対応はたいへんである。キャンパス内は首都圏ターミナル駅の通勤通学時並みの混雑となっている。それを多くの学生運営スタッフが処理していく。
学園祭には、文化系サークルやゼミなど多くの小さな組織が参画する。小さなコミュニティ組織である。

非営利組織の経営―原理と実践

非営利組織の経営―原理と実践

かつて、経営学の泰斗であるドラッカーは『非営利組織の経営』を著わしている。マネジメントの思想と技術は企業組織だけでなく病院や教育機関、教会、慈善団体といった非営利組織でも重要視されていることを示したものである。
非営利組織だからといって組織運営が企業よりも簡単なわけではない。むしろ非営利組織であるからこそ厳しい一面もある。たとえばリーダー像である。ドラッカーは言う。

ビジネスの世界では、凡庸なリーダーが長くもちこたえている例を私自身いくつも見てきたし、また多くの政権がそうであったことは誰もが知っている。しかし、非営利組織では、リーダーが凡庸であることはすぐに暴露されてしまう。非営利機関の場合は、評価の尺度が一つではなく、いくつもある点でビジネスや政治とは異なっているからである。…ビジネスの世界では利益が、政治の世界ではつまるところ再選がすべてである。しかし非営利組織の場合は、一つの評価基準というものはなく、リーダーたるものはバランス、統一性、成果に関する各種判定基準の組み合わせに取り組まなければならない。

サークル活動で学生たちは、それぞれの役割を自発的に担いながら組織運営やリーダーシップを学んでいく。それはけっして教室の授業では学ぶことが難しいし、その学んだ成果はペーパーテストで評価することも難しい。
次代を担う若者たちは、教師や先輩を超えてくれなければ困る。教師や先輩のコピー人材であってはならない。若者の大きな潜在力が発揮される場を大学も企業も社会も作っていかなければならない。そして、確実に有望な人材が育ちつつあることを感じた学園祭であった。