テレビ寺子屋の「江戸しぐさ」論

日曜日の朝、何気なくテレビをつけたら、地上波フジテレビ「テレビ寺子屋」という番組が流れていた。
このウイズダムダイアリーの先日のエントリーで取り上げた「江戸しぐさ」をテーマに鈴木一光さん(児童健全推進財団・理事長)の講演であった。
以下、鈴木先生のお話を急いでメモしておいたのでご紹介させていただきたい。

○江戸時代の言葉づかいの三大原則とは次の三つです。
・すみません:「澄みません」と書きます。仏様の前で澄んだ心になっていなくてすみません、という意味なんです。
・つまらないものですが:人様にお礼などでモノを差し上げる際に、相手からいただいた御恩に比べれば、ささやかのモノ、つまらないものですが、という意味です。
・ありがとうございます:「あり」「がたき」ことを感謝する言葉です。
○人付き合いで、やってはいけないこと
・足組みをするしぐさ
・腕組みをするしぐさ
・頭ごなしのしぐさ
○人間どおしは、けんかをしないとダメです。
・仲直りをする工夫を考えることが大事です。
○紹介者への感謝
・AさんからBさんを、あなたが紹介されたとします。あなたは紹介されたBさんと会って話をしたとします。その時は、紹介していただいたAさんに、Bさんと会ったということを伝えてください。
紹介者のAさんから、「もう私に報告しなくていいよ。君たち二人で、関係を深めていっていいよ。」と、言われるまで報告・連絡してください。
○「すまない目つき」と「いいんだよ目つき」
言葉で伝えられないときは、目つきで伝えればいいんです。
すまないな、と思った時は、「すまない目つき」で。
そんなこと気にしなくていいんだよ、と思った時は、「いいんだよ目つき」で。
○三つ心、六つ躾、九つ言葉、文十二、理十五で、末は決まる
・かつて日本全国に5万5千の寺子屋があり、そこで子供たちに、人様に不快な思いをさせない心構えが教えられました。
・子供たちの勝手な要求は三つぐらいはかなえてあげなさい。
・いろいろな躾け、六つぐらいはできるようにしてあげなさい。
・江戸時代は、10歳になると働きに出されました。お世辞が言えて一人前と言われていました。
・文十二とは、12歳になったら親の用が足せなければならない、ということです。たとえば、親のお使いで。親から言いつかって「○○さんに会ったらよろしく」と言われて、子供が○○さんに会ったら、「父(または母)が、よろしく言っておりました。」とだけ、伝えるのではなく、子供の自分の言葉で、「こういうことで父(母)が、○○さんに感謝しております。」と子供が親の言葉を翻訳して、具体的に相手に通じる内容で伝えて、はじめて一人前になる、ということです。
・理十五とは、理屈を言うのは十五歳になってから、ということです。

明日は4月1日。新年度がスタートする時期です。学校では入学式、会社や役所では入社式や新人研修が行われる時期です。
難しい講話もよいですが、江戸しぐさに学ぶ日本人の知恵が多くの人に伝わっていくといいな、と思いました。