チャオプラヤ川を想う

タイの洪水のニュースを見ていると心が痛む。かつての王朝の都で「水の都」とも言われたアユタヤから、現在の首都バンコクへ船で下った約2年前を思い出す。
ヨーロッパの都が堅固な石造りで人間の心に威圧を与えるものであるのに対して、タイの都はヒューマンスケールで、人々の和んでくるのはなぜだろうか。
プミポン国王は、「できるだけ多くの市民を分け隔てなく助けてあげてほしい。王室への手助けは不要」とのメッセージを伝えたという。国王は何度も洪水被害に見舞われたバンコク中心部を迂回する形で、縦横に運河などを張り巡らせる「国王の水路」と呼ばれる治水対策を立案したことで知られている。
バンコクは現代の喧騒と歴史の静けさという両極端が混じり合い、独自の文化が感じられる素晴らしい街だと思う。その中心にチャオプラヤ川があり、その河畔に王宮がある。この河を船で渡りながら岸を眺めると、歴史的な寺院があり、また近代的な高層ホテルやコンドミニアムが立ち並ぶ。
洪水騒動が落ち着いたら、またこの街を訪れてみたい。
(画像)チャオプラヤ川からみたワットアルン(暁の寺)。この対岸に王宮や巨大涅槃像で有名なワットポー(涅槃寺)がある。