弥生時代の遺跡と現代の古民家

旧長沢家住宅

遺跡、それも住居の遺跡というと昔、学校で習った登呂遺跡を思い出す。しかし、身近なところにも遺跡はある。横浜のニュータウン都筑区の地下鉄「センター北駅」近くにある「大塚・歳勝土遺跡公園」は不思議な空間だ。大型のショッピングセンターや大規模郊外型マンションに囲まれた、いにしえの古墳公園だ。竪穴式住居のなかに足を踏み入れると、ひんやりとし冷気を感じる。そこは快適な空間だ。弥生時代にタイムスリップするが一歩外に出ると、そこは現代の粋を集めた新しい街でもある。
遺跡群に隣接して古民家が保存されている。江戸時代の民家「旧長沢家住宅」だ。土間や畳の部屋にも上がることができる。畳の部屋の縁側に腰を下ろし、庭を眺めると、そこに秋が迫っていることを感じる。日本の民家というのは季節の変化と一体であったことをあらためて感じる。
遺跡の住居、古民家、そして現代のショッピングセンターや高層マンション群。時代はらせん状に回っている。進歩しているようで進歩していない住環境。ひとりひとりが、住環境について考えていかなければならない。そして、進歩とは何か、歴史とは何かということについて考えたい。
(画像)都筑民家園:江戸時代の民家「旧長沢家住宅」