コンメンタール・ドラッカーのイノベーション(1)企業家の定義

企業家はリスクを冒す。だが経済活動に携わる者は誰でもリスクを冒す。なぜならば、経済活動の本質は現在の資源を将来の期待のために使うこと、すなわち不確実性とリスクにあるからである。…確実性を必要とする人は、企業家に向かない。だが、そのような人は、政治家、軍の将校、外国航路の船長など、いろいろなものに向かない。それらのものすべてに意思決定が必要である。意思決定の本質は不確実性にある。…企業家精神とは気質ではなく行動である。しかもその基礎となるのは。勘ではなく、原理であり、方法である。

予期しないことが起こると、呆然とするか、一気に頭がフル回転するかどちらかである。これは正しい表現ではないかもしれない。予期せぬことが起これば、誰でも呆然とするはずである。重要なのは呆然としたままでいるか、呆然とした後に頭が回転し始めるかだろう。頭が回転しただけではダメだ。行動のために頭が回転するのだから行動しなければならない。イノベーションと企業家精神 (ドラッカー名著集)
企業家は予期しないことの連続のなかで鍛えられる。なぜなら、予期しないことというのは、発展のためのチャンスでもあるのだから。しかし、予期しないといっても、すべて予期できないことかというと、そうでもない。企業家は先を読んでいなければならない。起こりうるリスクを予測し、対処法も準備しておかなければならない。それでも、予期できなかったことが起こるのが常だ。そこで企業家の行動力が試される。
起こりうるリスクを事前に予測し、リスクの兆候が見えたら呆然としたままでいることを良しとせず、頭を回転させ、行動する。それを可能にするのは目的意識、原理原則を身につけていること、日ごろのトレーニングなどだろう。ドラッカーは「勘」ではない、と言っているが、そうした基礎が出来ているところに真の「勘」が働くのかもしれない。
女子バレーボール、柳本ジャパンがイタリアに勝った。競技スポーツは一瞬一瞬が意思決定の連続だ。テレビを見ていて競技者と企業家の共通点を感じた。