千葉の風景

私は神奈川県出身で、いまも横浜に住んでいる。湘南の海、丹沢の緑、箱根の森、横浜の港、川崎の工場地帯など神奈川の風景が好きなのは言うまでもない。しかし海を隔てたお隣の千葉の風景も好きだ。それも房総の海の風景ではなく、内陸の田園地帯の風景が好きだ。
千葉が好きな理由、とくに千葉の田園地帯が好きな理由は、単純に足を踏み入れた回数が多いのが原因かもしれない。印西市茂原市、長柄(ながら)町や松尾町には仕事で何度となく足を運んだ。この二つの市と町、たぶん全国的に(そして首都圏の人にも)はメジャーではない。とりたてて観光資源があるわけでもない。この4つの市と町に共通するものは田園の美しさである。
印西市利根川を隔てて茨城県と接している。近年、ニュータウンの開発が進んでいるが豊かな田園地帯である。夏のはじめの頃、ふと水田に降り立つとかえるたちが元気よく飛び跳ねている。茂原市は工業の町でもある。少し高いところから辺りの風景を見渡すと、ここはカナダかアメリカの林ではないかと錯覚に陥るような緑の木々の絨毯が広がっている。これは一般の千葉のイメージとは異なるものだ。長柄や松尾は、さらに何のへんてつもない町である。しかし、日本の「ふるさと」の原風景がそこにある。
長柄町にある生命の森リゾートhttp://www.seimei-no-mori.com/へは、いつも7月のこの時期に研修合宿で出かける。きらびやかなリゾートホテルや、際立った観光資源があるわけではない。別荘地ではあるが軽井沢や蓼科のような喧騒とは無縁である。とくにこのリゾートを取り囲む水田の緑の風景がなんともいえない。このリゾートの中に日本エアロビクスセンターというスポーツ施設がある。陸上競技、サッカー、野球といったスポーツのトップアスリートの面々がここで競技に備えた合宿を行っているのが有名である。その選手達のメッセージが色紙や施設の壁に記録されている。日本の緑深い施設に感動したという声が多い。
夏の季節、遠い北海道の洞爺湖でサミットも終わった。もちろん北海道の大自然雄大で、私も大好きだが、千葉の田舎の風景も捨てたものではない。