黒澤明「生きる」言葉

柿の実は鳥たちのもんだ

黒澤監督の娘の著者が、家にあった大きな柿の木の実を食べさせてもらえなかったことを、大人になって父に聞いたところ

縁側で柿木に群れて、美味しそうに柿の実を食べている鳥たちを見ていたら、不憫になっちゃってさ。人間は好き勝手にあれが食いたいこれが食いたいなんて言って、食いたいものを食うのにさ。

「父らしい言い草に、ついつい笑ってしまった」と著者は言う。
黒澤明「生きる」言葉』黒澤和子著 PHP研究所(2007年刊)の一節だ。
こうしたことが父親の子に対する教育なのかなあ、と、ふと思ってしまう。