日経夕刊のニュース記事と読み物

松屋銀座店

新聞というのは、ニュースを伝える機能と短い読み物を提供する機能があると思う。普段日経新聞しか購読していないので、他の新聞のことはなんとも言えないのだが、ニュース記事のレベルが相対的に低いと感じることが多い。
夕刊というのは、どうしてもニュースが中途半端で、読み物中心になってしまう。日経夕刊1月25日(水)でいくつかの記事をあげてみる。
●面白かった読み物
◇ひとスクランブル「日本を戦略デザイン③PAOS代表中西元男さん」(聞き手日経編集委員小牧利寿)
日本のCI(コーポレート・アイデンティティ)デザイナーの草分けの一人といわれる中西元男さんのインタビュー記事で、銀座松屋再建のために中西氏自身が身を持って徹底して銀座を調査しロゴマークを開発したくだりが面白かった。
◇ドキュメント挑戦「日本企業インチャイナ⑮明王化成」(日経編集委員後藤康浩)
中国・上海に高品質金型の製造拠点を持つ東京・大田の明王化成を取り上げている。上海明王の中国人技術者は日本の技術者の二倍のスピードで仕事をこなす人が少なくないという。製造現場での日本と中国の結びつきの強さ、そして中国企業提携先を探して100社以上の金型メーカを歩いたという日本企業担当者の努力などが面白かった。
◇雑誌で歩く戦後「ナンバー」(フリーライター永江朗
文芸春秋社が1980年に創刊したナンバーは個別の競技ではなくスポーツ一般の愛好者を増やすのに貢献した。競技の勝負ではなく、その裏側にある人間のドラマを伝える、というナンバーの本質が第10号の長嶋の空振りの写真の表紙で決定付けられたというのが面白かった。
◇こころの玉手箱「落合博光さんのバット」(メジャーリーガー松井秀喜
松井選手は巨人時代、落合選手のスイートスポットが狭く難しいバットを見て驚き、その後毎年バットの形状を変えていったという。それに対して松井選手によれば、イチロー選手はメジャーリーグで日本時代からのバットを一度も変えていないという。松井とイチロー、本当に対象的だ。ヒトそれぞれのやり方があるということだ。それを松井選手自身が語っているところが面白い。
◇都市の中で自然と共存「建築家安藤忠雄さん」(聞き手日経文化部上原克也)
表参道に建設中の東京同潤会青山アパートの設計を手がけた安藤さんへのインタビュー記事。経済性一辺倒ではなく、自然とともに生きるという日本古来からの遺伝子を呼び覚ます建築のありかたという安藤氏が昔から言ってきた主張は、現代の日本の建築をめぐるさまざまな問題の中で大きな意味があると思う。
●つならなかった記事
◇野球ファン・裏切られた思い(社会面署名なしの記事)
ホリエモンライブドア関係の記事は、どれも一方的なもので辟易としてしまう。この記事は、大阪や仙台、広島の地元住民がライブドアが来ていなくて良かったという声をまとめたもの。せめて社会面ぐらいは一方的なホリエモンライブドア批判ではなく、そろそろ高い見地からの記事がほしいところだ。
(画像)銀座松屋 http://www.paos.net/cgi-bin/designdb/explanation.cgi?organization=3より