人間の見分け方

案外、人間は言葉の端々に本音を出している。ことに、気分が浮き浮きしているときは、ひょっと出てしまうものだ。

谷沢永一『人間の見分け方』エイチアンドアイ2005年刊人間の見分け方
ある企業経営者の講演を聴いた。最近株式公開を果たされた若き経営者である。年齢の割には話される声のトーンは穏やかで言葉遣いも丁寧であった。突然、一箇所だけあまり上等とはいえない言葉が発せられた。ある業種の人間を揶揄する言葉だ。実は、私自身が揶揄された業種に属する人間なのだ。これで一気に醒めてしまった。たぶん、ご本人は気がつかなかっただろう。通常、講演者はその講演の参加者名簿などを事前に見ているはずである。50人ばかりの聴衆であるから、慎重な講演者であれば気遣いをするはずである。
けっして私個人が揶揄されたのではなく、業種自体が悪く言われたのであるから気にしなくてもよいし、こうした悪口は時々聞かれるので、反省すべきところも多いともいえる。しかし、あまり気持ちのよいものではない。真摯に批判をしていただけたのであれば耳を傾けるが、それまでの丁寧さとガラッと代わったあまり上等でない言葉であったので驚いた。
私自身も、時々こうしたミスを起こしているという自覚があるので、大いに反省もした。
最近、『国家の品格藤原正彦著に代表されるように品格ということに関心が寄せられつつある。一人ひとりの品格を高めることが国家の品格にもつながると思われる。