モード1からモード2へ:知識生産の方法の変化

kohnoken2005-12-24

2005年も残り少なくなってきた。今年はブログやSNSといったCGM(コンシューマー・ジェネレイテッド・メディア)と呼ばれる情報発信の形が一気に花開いた年であったといえる。2006年は、さらにさまざまな展開が進んでいくだろう。
今年の6月からはじめたこのウイズダム・ダイアリーもいつの間にか100日目のエントリーとなった。ブログとは、どんなものかと、特に目的もなくはじめたのだが、100回というのはひとつの目標にしていた。とくに限定されたテーマもなく、日常起こること、気になることを勝手気ままに書いてきた。ブログは、ある程度テーマを絞って続けると注目度も高まると思う。ただ、このウイズダム・ダイアリーは注目度を高めることを第一に考えていないので、当分はこのスタイルで続けていく。ただし、若干堅い話も増やしていけたらと考えている。
イギリスの科学論の研究者であるマイケル・ギボンズは著書『現代社会と知の創造』(丸善ライブラリー、1997年)の中で、科学技術活動の「モード論」を展開している。

知識生産の方法の根本的な変化にわれわれは直面している。従来から存在する知識生産の様式をモード1、新しい様式をモード2という。簡単にいえば、ディシプリン(個別学問領域)の内的論理で研究の方向や進め方が決まるのがモード1、社会に開放された科学研究のモードがモード2となる。

モード1の組織は階層的であるのに対して、モード2の組織はより非階層的であり、流動的である。モード2はさまざまな関連する人々の参加を実現しながら知識を生み出していく手法であるともいえる。
ブログをはじめとしたインターネットにおけるコミュニケーション・ツールの進化と、そこへの参加者の階層の広がりは、まさにギボンズのいうモード2という動きそのものであると思う。
直接関係はないが、韓国ソウル大学の黄教授の論文ねつ造問題は、モード1からモード2へのシフトという動きに対応できていなかったという解釈もできそうだ。
このウイズダム・ダイアリーも、ちょっぴりバーチャル・ラボ(ネット上の個人研究室)の色合いを出していけたらと考えている。
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