走るポジティブ人間:高橋尚子現象

高橋尚子選手

20日の東京国際マラソンでの高橋尚子選手の活躍は、多くの人に驚きを与えたことからさまざまな論評が加えられている。この高橋尚子現象とでもいうべきものは、いろいろなことを考える際に応用できるような気がするので、ここに整理をしておきたい。
高橋尚子選手を表現するキャッチフレーズ
言葉の魔法使い http://app.blog.livedoor.jp/kinkiboy/tb.cgi/50099811 走るポジティブ人間 http://ameblo.jp/dreamgate/entry-10003091513.html
代表的な彼女の発言は下記のものだ。

アテネ五輪の代表選考にもれた時の言葉>
自分は、いつも頑張らなければ45番目の人間なのです。
人よりも何倍も頑張って初めて上に上がっていける人間なのです。
今回は、アテネ五輪で金メダルをとるという
宝箱を開けようとしたけれども、
宝箱が突然、どこかへ消えてしまった。
だから、私は今、次の宝箱を探していて、
それを開けることを考えてワクワクしています

彼女から発せられる言葉は、「言葉の魔法使い」と称されるほど、鋭いものがある。高橋選手はこの優勝を、「オセロゲームで黒を全部、白に変えられたかのよう」と表現したが、この言葉などは常人では出てこない。
②高橋選手は企業経営者
高橋選手のレース後の問題(?)の発言を掲載した新聞は、フジサンケイビジネスアイhttp://www.business-i.jp/news/sou-page/news/200511210013a.nwc
その記事では、松下電器中村邦夫社長が松下幸之助神話を打ち壊したことで復活を遂げた話などを交えて、企業経営の改革と高橋選手をダブらせた。また、怪我を押して出場した高橋選手の心理をを次のように解説した。

今回、高橋選手が右足の故障をおしてでも出場した背景には、一つにはチームを運営する“経営者”としての責任感があったのかもしれない。

③圧倒的な感動の声と掲示板での批判の声
今回の高橋選手の活躍についてはマスコミおよびブログなどでは、感動したという声が大勢を占めた。レース後の「暗闇(?)発言」については、私などは「レース終了直後にもかかわらず、よくこれだけのことが言えたもんだ」と驚くと同時に、「余計なこと言わなくても良いのに」という気持ちもわずかながらある。このへんの非難の声がもう少しあっても良いのになという気がしている。
なお、右足肉離れを試合前に公表したことについては、ヤフー掲示板などでは批判の声があったようだ。怪我宣言をすることで責任回避が図られるのではないかという批判だ。敗れれば怪我だったからと言い訳になるし、勝てば怪我を押してよくがんばったと賞賛されるからだ。この高橋選手の怪我公表については、私は次のように考えている。
④レース前の状況も含めて観衆に楽しんでもらう
高橋選手は、何でもオープンにすることにした、という発言をしている。それはすなわち、レース前の自らの体調の状況をオープンにして、そのことからレースにいたるまでの期間も良い意味で演出したのではないか。ハラハラしながらレースを見るという楽しさを観衆に提供したということだ。これは彼女自身の考えであるとしたら、高橋選手は偉大なるプロデューサーということになる。フジサンケイビジネスアイの記者が表現したように、経営者の感覚を彼女は持ち合わせているともいえる。
⑤高橋選手と「債権」
最後に、今回の高橋選手の活躍を評したコメントで秀逸だったのは法律問題とリンクさせた次のブログ(11月21日)だった。http://www.ebisunews.com/iceblog/

トップアスリート・高橋尚子さんは、2年前敗北を喫した同じレース、同じ相手に再び挑み、優勝するという偉業を成し遂げました。
それはこれまでの高橋尚子さんに対する社会の評価を塗り替え、さらには高橋さん自身の過去の意味も「成功の為の材料だった」と真逆に塗り替えることに成功しています。
前述の書において我妻博士は、かつてのジョセフ・コーラーの言葉を引用し、債権の発明により『過去は未来の役に立ち、未来は過去の役に立つ。時の障壁は打破せられ人類は、何等妨げられるところなく、時間と空間とを征服するに至る』のだと表しています。
2年前の高橋尚子さんが、それから2年後の自分自身に課した「再び栄光を勝ち取れ」という「債権」は、見事彼女自身によって給付され、そのことはコーラーの看破した債権の仕事をきっちり証明しているのだといえます。

私は、高橋選手のレース後の発言を聞いて思った。日本初の女性首相は高橋さんかもしれないと。
(画像)日経写真ニュースhttp://www.nikkei.co.jp/news/main/im20051120SSXKA010820112005.html