花を売らない花売り娘の物語(ハイタッチ・マーケティング論)

最初のはじめにで、「この本はビジネスの書ではありません。ビジネス人生の書です。」とある。たしかに著者の人生がつまった本だ。マーケティングとは「切れば血が出る」人間的な世界だという著者の思想には共感するところが多い。花を売らない花売り娘の物語 High-Touch Contact with Customers (ペーパーバックス)

四半世紀も昔、あるセミナーでコンピュータの概要を説明し終わったとき、受講生の一人が真剣なまなざしでこう質問してきました。
「結局、コンピュータに比べて人間のほうが優れている点は、どんなことでしょうか?」
…ともかく答えなければなりません。
私見ですが、人間には、マシンが真似できないすばらしい能力が3つあります。それは、嘘がつけること、間違えられること、そして忘れられることです。」
…私は無謀にもそんなふうに話し始めたのです。
私が第一に挙げたのは、人間は嘘がつけるということです。真実はいつもあからさまにすればいいというものではありません。私たちは真実を隠す能力を持っているのです。
「これ以上おそばにいては、あなた様の足手まといになります。」
これは女の嘘。いわば彼女たちの別れの常套句ですね。
「あなたとはこれ以上、おつき合いしかねる。愛想が尽きたわ。もうこりごりよ」という意味ですよね。

私は「豚もおだてりゃ樹に登る」という台詞を大切にしています。…「河童もけなせば溺れ死ぬ」。私にとって身の毛もよだつ下の句です。

著者の人柄がにじみ出ている。読みどころ満載のビジネス&マーケティングの本といったところでしょうか。