桐始結花(きりはじめてはなをむすぶ)

桐の樹形

春から夏へ、夏から秋への変化は少しずつ変わっていく。中国伝来の暦に「二十四節気」と「七十二候」がある。前者は一年を二十四に等分し、「春分」「穀雨」など漢字二文字で特徴をつかむ。後者は、二十四節気をさらに三つに分け、一年を七十二の気候に分ける。ほぼ五日間ずつ自然の変化を「雀始めて巣くう」「桜始めて開く」などと漢詩の一節に込めて表現している。
七月の今の時期は、二十四節気では「大暑」、七十二候では「桐始結花(きりはじめてはなをむすぶ)」である。桐は五月頃に清楚なかぐわしい花をつける。今はその花が実を結び出す頃だ。
桐の名前の由来は「切り・伐り」から来ている。この木は切れば切るほど伸びるからだという。桐の木は成長が早いのが特徴で、樹齢20年くらいで活用することができるようになる。杉で80年、松で40年かかることから比べて極めて早い。さらに桐材は、腐食に強く品質の良い桐箪笥を大切に使うなら150年以上は使うことが出来る。資源の乏しい「日本」には貴重な桐である。
中国では、桐は鳳凰が親しむお目出度い樹として崇拝されており、日本でも、菊とともに皇室の紋章や神紋に用いられるなど高貴な扱いを受けている。そういえば学校の名前にも「桐蔭」や「桐朋」「桐光」など桐の名前がつけられている。
成長が早い躍動的な木でありながら、軽くて、湿気や腐食に強く、磨けば光沢を増し、大事に扱えば長持ちするなどの特徴を持った桐。人間も桐に学ぶところは多い。花の名前
なんだか、「天声人語」のような文章になってしまった。
(参考資料)『花の名前』高橋順子(小学館2005年)
 『東京両国・桐の博物館ホームページ』http://www02.so-net.ne.jp/~kiri/
(写真)『季節の花 300』 http://www.hana300.com