ロボコップ

デトロイトコメリカパークでMLBオールスター前夜祭のホームラン競争が行われたようだ。決勝戦で優勝したのはボビー・アブレイユ外野手(フィリーズ)で、準優勝は、あの「面構え」が魅力の地元タイガースのイバン・ロドリゲス捕手となった。ロドリゲスが最後に残ったことでコメリカパークはおおいに盛り上がったことだろう。
さて、アメリカの都市の最新の人口統計(国勢調査)が発表された。それまでトップ10に入っていたデトロイトはカリフォルニアのサンノゼに抜かれ11位となった。デトロイトの人口減少が止まらないという。
http://www.asahi.com/english/svn/TKY200507040168.html
ロボコップ<特別編> [DVD]
先週末、レンタルビデオで「ロボコップ」を観た。1987年の作品で近未来の犯罪都市デトロイトが舞台となっている。市警察の親会社(?!)に民間のオムニ社が君臨し、デトロイトを牛耳る。オムニ社が犯罪者と警察のマッチポンプ役をはたし、権力を握るというストーリーである。近未来でもデトロイトの犯罪は減少するどころか、さらにエスカレートし、負の連鎖がとまらない。犯罪の巣窟としてのダウンタウン、それに対して主人公家族が住む郊外の住宅街の静けさが何ともいえないコントラストとして描かれている。
先日紹介した『ブルーオーシャン戦略』では、1990年代に公共部門でブルーオーシャン戦略を実行し、成功を収めた事例としてニューヨーク市警察(NYPD)が取り上げられている。1990年代無秩序が広がり悲惨な状況にあったニューヨーク市の治安を一気に改善し、ニューヨークを全米有数の安全な大都市に改革したのは、有名なジュリアーニ市長といわれているが、実際の功労者は1994年にニューヨーク市警本部長に任命されたウイリアム・ブラットンである。ブラットンのリーダーシップスタイルは、人々のエネルギーを改革へと結集させ、ついには臨界点を超えさせるという「ティッピング・ポイント・リーダーシップ」と呼ばれるものだ。
ブラットンはニューヨークの前にもボストンなどで短期間に大胆な構造改革を成功させてきた。そして、ニューヨークでの成功の後、今度はロサンゼルスに乗り込んだ。
犯罪が蔓延した都市は、警察も疲弊する。そこで劇的に犯罪をなくす仕事は並大抵ではない。しかし、強力なリーダーの信念があれば、不可能が可能となる。
さて、オールスターゲームが行われるデトロイトは往年の繁栄を取り返すことができるのだろうか。
(注)ブラットンの成功方程式である「ティッピング・ポイント・リーダーシップ」については、DIAMONDハーバード・ビジネス・レビューの2003年12月号にも詳しく紹介されている。