最高のオシャレは姿勢と礼儀正さ

2ヶ月ほど前、テレビで小野田寛郎さんのドキュメンタリーを観た。30年前に発見され日本に帰国されたときの軍服姿の小野田さんのイメージが少し変わって見えた。太平洋戦争終了後に約30年にわたるフィリピン・ルバング島のジャングルでの体験で動物的な勘が体に染み付いた。その動物的勘はおそらく今でも衰えていないと思う。話を聞くと負けん気の強い人だなあと感じたが、そこには嫌味は感じられずさわやかだ。小野田さんにとっての戦後30年でかなりスマートでオシャレになられたように思う。
今週号の週刊文春で小野田さんは阿川佐和子さんと対談している。この20年はブラジルの牧場と日本を行き来し、日本では「小野田自然塾」を開き年に1,000人、20年間で2万にもの子供たちと言葉を交わしたという。ジベタリアンが増えたのは体力の低下によるものと指摘する。週刊誌の写真からも若くて笑顔が輝いていて、歯が白く丈夫そうな姿が見て取れる。最近、こうした生き生きとした日本人が少なくなってきているように思う。
阿川さんは、対談後の感想を次のように語っている。

奥様とご一緒に部屋に入ってこられたときも、ソファに腰をかけてお話なさるときも、そのお辞儀のされ方、背筋の伸び方、座って両手をひざにちょこんと乗せ、膝頭を離すことなくじっと同じ体勢を崩されないご様子……。どれを取っても、ああ、昔の礼儀正しい日本人って、こういう感じだったということを思い出しました。娘のような年齢の私を相手にも終始腰低く対応してくださり、つい足を組んでしまいそうになる私は何度自らを心の中で叱咤したことでしょう。

最高のオシャレは「姿勢」と「礼儀正さ」だなぁとあらためて感じた。ちょっとしたしぐさの一瞬に人間性が出てしまうので怖い。日本人の良き伝統だけは守りたいものだ。