なでしこジャパン・4強入り

FIFA女子サッカーワールドカップ・カナダ大会
なでしこジャパンは、4強に名を連ね、あとに2試合を戦うことになる。
ここまでの注目選手について、コメントしておく。
●岩淵真奈
準々決勝オーストラリア戦で、今大会初ゴールをあげたヒロインである。
3年前のオリンピック・女子サッカー決勝アメリカ戦で、絶好の得点機会に
シュートをはずし、涙を流した、あのマナドーナこと岩淵真奈である。
岩淵は、試合後のインタビューで、涙ながらに語った。
「今すぐ、練習をしたい」
岩淵は、小柄な日本女子選手を代表する若きストライカーである。
岩淵は、つねにフォワードでステップを踏んでいる。
二本の脚で棒立ちの状態はない。ダンスを踊るようにボールを待っている。
つねに、準備を怠らないのである。
映像は、それを証明している。こんな選手はなかなかいない。
準々決勝のゴールの時もそうである。これは天性のものであろうか。
長身の欧米や南米の選手に対して、150センチ台の岩淵に代表される、
なでしこフォワードが、精密機械のように躍動する。
これは、トヨタに代表される日本車の部品と、それを組み合わせる
日本の自動車産業の優秀さに通ずるものだと思う。
大野忍
小さな体だということもあり、より目立つのかもしれないが、
とにかく俊敏である。岩淵の大先輩である。
今回のカナダ・ワールドカップの開催前の段階で、
私は、なでしこのチームの中で体が切れていたのは大野選手だと思った。
まだ、大きな得点貢献はしていないが、準決勝以降の2試合で、
おおいに成果をあげてほしい。
また大野選手はベテランでありながら、チームのムードメーカーである。
後輩たちが、先輩が楽しい雰囲気を作ってくれる、
と常々語っているが
その先輩の中心に大野選手がいる。
かつて、大野選手が欧州のチームに移籍した時に、チームメイトの
大御所・澤選手は、大野は寂しがり屋なので心配だ、と言っていた。
寂しがり屋だからこそ、楽しいことが好きなのだろう。
こうした存在は貴重である。
川澄奈穂美
2011年ワールドカップスウェーデン戦での2得点をきっかけに、一気になでしこの人気選手になったヒロインである。
かつて、本ブログでも紹介したように、毎日欠かさずブログを更新している。肉体的にも精神的にも厳しい毎日をおくるアスリートでありながら、毎日更新というのは驚異的である。そして、その内容は手抜きをすることなく、充実した内容である。
つねに、ファンとともに、同世代の人々と同じ目線で語っている。
その姿勢が、多くのファンの心をつかむのである。
インターネットを通じた、なでしこの広報部長のような存在である。
●有吉沙織
初戦のスイス戦から出場し、すでに得点をあげている。
今回のワールドカップで、おおいに名を知らしめた選手である。
日に日に、美人になっていく。目の輝きが増していく、インタビューの声に艶が出てきている。
活躍は人を変える。
宇津木瑠美
有吉とともに、ここまでのこのカナダワールドカップを支える影の功労者である。
本ブログでも、宇津木選手のことはとりあげてきた。
サッカーの理論家である。そして女性としての生き方やファッションについても独自の考えを持つ。これは長年、単身でフランスのサッカーチームで活躍をしてきた中で培われてきたものであろう。
一部マスコミでは、澤を継ぐのは宇津木だろう、と言われている。
宮間あや
なでしこジャパンを牽引するリーダーである。
そして、世界の女子サッカーを牽引するリーダ−でもある。
澤穂稀の後を継ぐ、技術的リーダーが宇津木であるのなら、精神的支柱という役割を継ぐのが宮間であろう。
あの2011年ドイツ大会で、アメリカとのPK戦で、熊谷が優勝のシュートを決めた直後、日本チームが走り寄って皆で抱き合うというときに、宮間だけは、ただ一人敗れたアメリカ―チームに向かっていきお互いに検討をたたえ合った。
こんな選手は、サッカーだけでなく他のスポーツでもいないだろう。
川澄選手は、ブログで語る。
スポーツの試合では、勝者がいれば必ず敗者がいる。
先の準々決勝で、川澄選手は、オーストラリアチームのメンバーより、良い試合だった、次の試合頑張ってねという声をかけられたという。
宮間選手の敗者を思う気持ちという精神が、世界のチームに広がっているのだろう。
・・・
イングランドアメリカ、ドイツ、日本と
女子ワールドカップの4強が決定した。
それぞれ、サッカーだけでなく
世界を代表するといってもよい4か国である。
イングランドはサッカー発祥の地で、日本が一度も勝利をしていないチーム。
アメリカは、前回ワールドカップで日本と死闘を演じたチーム。
ドイツは、名実ともに世界ナンバーワンの強豪。

なでしこは4強に入ったことで、
仮にイングランドに負けても
3位決定戦があるので、あと2試合、このチームでのぞむ。
あと2試合の中で、なでしこジャパンは、どんなドラマを
つくりだしてくれるのだろう。今から楽しみだ。