豊田泰光のチェンジアップ

何時の頃だったか、だれが言ったのかは忘れたが、日本経済新聞で最も読むべき価値があるのはスポーツ欄だという一文を目にしたことがある。そのスポーツ欄で16年間続いていた豊田泰光さんの「チェンジアップ」が12月26日最終回を迎えた。
評論家は辛口評論家といわれなければならない。「よいしょ」もたまにはいいが、そればかりでは評論家とは言えない。豊田さんはまさに辛口評論を続けてこられた。
球界はいい方向に向かっているのか、という問いかけに豊田氏は答える。

そうは思わない。巨人は不滅かもしれないが、プロ野球界は永遠ではない。まだ親会社の宣伝道具の面があり、景気次第でいいようにされる恐れがある。……
メジャーへの選手流出も心配だ。選手はより高いレベルでやりたいのと同時に、あの球場の雰囲気に吸い寄せられていく。騒がず、選手の一投一打に集中するスタンド、土のにおいがする天然芝のグランド……。50年前に視察したヤンキースタジアムの感触が忘れられない。芝を傷めぬよう、はだしで歩いたら、思ったより硬かった。それが何とも気持ちよかった。海を渡ったイチローが、子供のように跳ね回っていたのもわかる気がする。

豊田さんは西鉄黄金時代を稲尾や中西とともに築き、その後国鉄スワローズに移って活躍した名選手である。私も小学生時代、大洋ホエールズのファンであったが、国鉄の豊田は敵ながらスマートで良い選手であった。
楽天田中将大のMLB行きを認め、申請を行った。野球は米国、サッカーは欧州への選手の流出が続く。それはそれで良いのだが、いつの日か日本やアジアに世界の選手が集まるような時代が来るとよい。女子サッカーはワールドカップ優勝以降、世界の注目を浴びたが、それでも欧州への選手流出が続いている。来年も川澄、近賀、チソヨンらINC神戸レオネッサの中心選手の海外移籍がうわさされている。女子サッカーぐらいは日本を中心としたアジア諸国が世界の選手を集める仕組みを作ってもらいたいものだ。