人はチームで磨かれる

19日の土曜日の午後、BSフジでプレナスなでしこリーグのINAC神戸レオネッサと浦和レッドダイヤモンドレディース戦を見た。
試合は2−1でINACの勝ち。最初の得点は浦和であった。その失点にかかわってしまったのがINACの清水あかね選手(20歳)である。清水選手は先週の前節で初めて先発出場し、その時も今回と同じく、失点にかかわってしまい、INACが逆転したときに涙を流した。
今回の浦和戦でも前半で失点にかかわったことで、精神的な打撃を受けていたことは想像に難くない。ハーフタイムの後のスタートの際、この清水選手のほほを両手で触って、笑顔で「喝」を入れたのが澤穂希選手である。その一瞬をテレビのカメラはとらえた。
結果、INACは逆転し勝利する。
ここに常勝軍団INAC神戸のチームワークを感じた。そして、齋藤孝さんの著書『人はチームで磨かれる』の一節がよみがえってきた。

人はチームで磨かれる

人はチームで磨かれる

どんなチームにもいえることだが強い人間だけが集まれば強いチームになるとはかぎらない。そこに能力の劣る人間が交っても、本人がポジティブであればチームに活力をもたらすことができるのである。
そのことは、例えば赤ちゃんのいる家庭を考えてみればわかりやすい。赤ちゃんは一人では何もできないため、家庭にとってはたいへんな混乱材料だ。特に初めて授かった子であれば、不安や迷いはつきものだろう。しかし、家庭で協力したり話し合ったりしながら世話を焼いていると、それ自体が家庭の絆を強めるのである。P89

失われた15年とも20年ともいわれる。パソコンが職場に入り、インターネットにつながり、オフィスのデスクの間に衝立が置かれたのがこの失われた15年から20年の日本の組織の歴史である。それはそれで個人の仕事には集中することが出来た。しかし、チームワークの力が強化されたのかといえば、疑問符が付く。
齋藤さんは、
「同じ部署でいくら机を並べていても、それだけでは集団にすぎない。だれもが当事者意識を持ち、創造性を発揮し、ゴールを意識しながら、助け合うチームはいかにしてできあがるのか?」
を本書で解き明かしていく。それを読んでいると、良きチームの手本がINAC神戸や、なでしこジャパン代表チームに体現されているように思う。男子のサッカー代表チームはここの所、敗戦続きで壁にぶち当たっている。齋藤さんの本書が日本企業にもサッカー男子代表チームにも、活性化のテキストになるように思う。
(写真)清水あかね選手http://inac-kobe.com/player/より