12月の雨
12月4日の土曜日の早朝、携帯ラジオを胸ポケットに入れて散歩に出かける。ここ3か月ほど体調を崩し、血圧が異常に上がり、また目の疲れがひどくかかりつけの医者からも無理をしないように、食べすぎずに運動をして、と厳重注意を受けていて土曜日は、早朝から快晴で、体を動かしに散歩に出た。
ラジオからは、ユーミン荒井由美時代の「12月の雨」が聴こえてくる。たぶん30数年前の曲。「もうすぐ来るクリマス・・・」という歌詞がることから今の季節にふさわしい歌だ。
12月3日の金曜の朝は、季節外れの台風かと思わせる12月の雨であった。夜半からの雷鳴で目が覚め、窓の外を見ると、激しく雨が降っている。マンション前の道路は、水がたまり、クルマが通ると水しぶきをあげている。悪い予感がした。案の定、午前6時、7時と漆黒の闇から薄明かりの時間になるにしたがって道路の水かさが上がってくる。
今住んでいるマンションは、緩やかな傾斜地の谷底ともいうべき場所に位置している。大雨が降ると、道路に水がたまり、5年に1回ぐらいの頻度でひどい状態になる。その日も、夜が明けるにつれ、水かさが増え、マンション入り口に浸水の危機を迎えた。マンション入り口前の道路は完全に水につかり、クルマ3台が立ち往生の状態。ちょうど通勤ラッシュの時間で、通勤通学の人たちが茫然と道路の状態を眺めてる。
幸い、雨足は弱まり、空も西から青空が見えはじめ、道路の水かさも低くなり始める。マンション管理の担当者さんも靴を脱ぎ、ズボンをまくって膝まで水につかりながらやっと私のマンションに到着した。一安心で、私も出勤することができた。嵐の後は、12月とは思えない温度が上がった金曜日となった。
Think Global、 Act Local.と、良く言われる。世界的な視野も大事だが、自分の住んでいる地域のことを知っておくことが大事だということだ。
私の住む東急田園都市線の最寄り駅は、いまでこそ、華やかな駅舎に改装され、ショッピングビルの来店客で賑わっているが、この新線の開業当初は、駅に「下駄箱」が置かれていて、駅の利用客は、雨の降った日は長靴にはきかえて家路についたという。そんな、水につかりやすい田舎であった。まさに、田園地帯であったわけだ。この地理的な特徴は、都市の開発が進んでも、いまでも拭い去ることはできず。大雨が降れば、たいへんなことになる。
養老孟司さんと岸由二さんの共著の新書に『環境を知るとはどういうことか』 PHPサイエンスワールド新書(2009年刊)がある。。
環境を知るとはどういうことか (PHPサイエンス・ワールド新書)
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鶴見川と三浦半島に深い関心を寄せる岸教授の『いるか丘陵の自然観察』 山と渓谷社(1997年刊)http://www.irukaland.net/book/iruka_guide.htm
によれば、多摩丘陵から三浦半島は、塩の道、絹の道、鎌倉街道等の地縁と共通の文化で一つに結ばれているという。私の住む横浜北部から、はるか南の三浦半島にかけては丘陵地帯が続いている。丘陵地帯というのは、丘があり谷があるということだ。
人が住む場所は、やはり丘で、眺めも良い、ということが言えるかもしれないがその環境は落ちつかない。一方、谷は眺望は悪いが、なぜか人間らしい落ち着きを感じる。新興住宅地には、丘や台などの地名を付け、新しさや明るさをアピールする。
一方で、谷の街は、どちらかという夜の街という印象が強い。東京でいえば、渋谷、麻布十番、西麻布などはいずれも谷の街だ。私の住む地域は、地名では「美しが丘」という丘の地名が付いているが丘の部分はわずかで、その実態は「谷」という、おかしな地域でもある。
今住んでいる地元の地理、地学や歴史を掘り起こしていくとさまざまな発見がある。国際情勢でいえば、中国、朝鮮半島、ロシアといった地域と日本の地政学が重要な時代ではあるがまずは、超ローカルな地元に関心を持つことが大事だということ。
「12月の雨」を経験し、ユーミンの歌を聴きながら、こんなことを考えた週末であった。
ちなみに蛇足ながら、三浦半島の西海岸に「秋谷海岸」という夕陽の眺めで有名な「谷」のついた場所があるが、ここの海岸沿いの立石無料駐車場はユーミンの「リフレインが叫んでる」の舞台でもある。
http://www7a.biglobe.ne.jp/~yuming-kobe/info_kanagawa/akiya.html