アイデアパーソン入門

『考具』の著者である加藤昌治さんの新著です。
「わがまま→思いやり」という、なかなか秀逸な川崎和男さんの言葉を紹介しながらアイデアと企画の違いを、うまく表現しているなと思います。アイデアパーソン入門 (講談社BIZ)

イデアと企画は別物。分けてください。アイデアと企画。わたしは完成度の違いで区別しています。企画とは、GOサインがあれば、実現可能なところまで裏が取れている提案のことです。一部調整ごとや追加予算の必要がある、なんてケースもあるでしょうけれども、だいたい収まる目処がついている状況です。
誰かに対してきちんとしたビジネス上の提案をするときには、お題を解決するためのアイデアを大量に出し、よきものを選び、実現可能かどうかの裏取りや確認をして自信を持って提案をする。このプロセスが大事です。
なんか面白くないな…と感じる企画には、アイデアがありません。考える順番が反対だったからじゃないでしょうか。そうです。考えるにも順番があるんですね。
わがまま→思いやり。この順番、もう絶対の「鉄の掟」だと思ってます。デザイナー・川崎和夫先生の言葉です。ちょっと引用してみましょう。
「自分のわがままを精一杯発揮して、そのわがままな発想を思いやりに変えていく。(中略)デザインというのは、自分のわがままな発想を、社会から『これは思いやりのあるわがままなんだな』って思ってもらえる、そういう形に変えてあげることなのです。」
一般的なビジネスパーソンの仕事では、わがまま=アイデアという選択肢をたくさん出すこと、思いやり=選んだアイデアを、企画として整えていくことになります。予算、納期、価格設定……などアイデアを具現化していく過程はまさに思いやりの作業です。わがままと思いやりのバランスがいいと、関わる人、対象となる人の全員が楽しくて幸せになる結果が待っています。

イデアパーソンは、とにかく数多くのアイデアを出すこと、ユニークなアイデアを出すこと、企画パーソンは、選ばれたアイデアをすぐに実行に移せるように思いやりを持って詰めていくこと。基本的なことですが、なかなか出来ないことです。
世界が厳しい状況にある今日、ひとりひとりが、身近なところから危機突破に向けてアイデアを考え、企画をし、実行に移していくことができたら、時代は変わるのではないでしょうか。人頼みはいけません。自分の頭で考えて、自ら行動する。それも徹底して考え抜いた「わがままな」アイデアと実現に向けての思いやり」のある企画が大事だということです。