『ブルーオーシャン戦略』

INSEADW・チャン・キムレネ・モボルニュは、DHBR(ダイヤモンドハーバードビジネスレビュー)の2005年1月号で「ブルーオーシャン戦略」を書いており、また、つい最近著書『ブルーオーシャン戦略』の翻訳版がランダムハウス講談社から出版された。
最近読んだ事業創造論の中では、わかりやすく実践的だ。ライバルと同じ市場で戦うかぎり、どれほど巧妙に戦略を練ったところでいずれ消耗戦を強いられることなる。血みどろの戦いが繰り広げられる既存市場を「レッド・オーシャン(赤い海)」と呼ぶのなら、いま企業が目指すべきは競争自体を無意味なものにする未開拓の市場、「ブルーオーシャン(青い海)」の創造だろう、と著者は言う。
ここ25年ほどの戦略研究はレッドオーシャンでの競争に焦点が当てられ、ブルーオーシャンの創造については実用的な指針がないため企業経営者やマネージャーはブルーオーシャンの創造にしり込みをしてきたきらいがある。著者はブルーオーシャン創造の実践的な枠組みを提示している。
たとえば、アクションマトリクスというツールが提示されている。取り除く、減らす、増やす、付け加えるという4つのアクションでブルーオーシャンが創造されるという。増やす、付け加えるばかり行うとコストを押し上げてしまう。取り除く、減らすだけではバリューが下がる。いらないものを取り除き、減らした上で必要で新たなものを増やし、付け加えることでバリューイノベーションが図られるとういう。
著者は新しいサーカスの「シルク・ドゥ・ソレイユ」を例に出しバリューイノベーションを説いてみせる。従来のサーカスとは競争の舞台が変わりライバルのない世界が作り上げられたというのである。
ふと日本のプロ野球の世界を思い起こした。福岡のフォークスに始まり、いま千葉ロッテマリーンズで競争の舞台の変革が試みられているように思える。それに対して、ジャイアンツは相変わらず「長嶋さんだのみ」だ。
そして、テレビは相変わらず「若貴の納骨だのみ」だ。でも、どちらも楽しみだけどネ。大宅壮一の「テレビで国民は一億総白痴化」はいまだ正しい!?