天才がどんどん生まれてくる組織

齊藤孝さんは「修養論」という分野を切り開いたように思う。天才がどんどん生まれてくる組織 (新潮選書)
『天才がどんどん生まれてくる組織』(新潮選書2005年刊)は、才能がなぜ集中してある時代や世代に出現するのかについて書かれたものである。第1章の「猿飛佐助は個性を超える」が面白い。白土三平の『サスケ』を題材に、死んだはずの猿飛が、再び現れて服部半蔵を驚かす。その謎は。猿飛というのは何人もいる。猿飛というのは人の名ではない。術の名前だ。猿飛の術をつかう者はすべて猿飛だという。

高度な基本技が、集団としてのアイデンティティとなっている。…この基本技の共有と言う観点から、組織を見直すことによって、組織の質がより見えやすくなる。…突出した才能を持つ個人の癖に惑わされずに、その才能を支えている基本技を見抜く。これが集団がクリエイティブであるかを見分ける際の重要な視点である。

と齊藤さんは言う。
企業でも、スポーツ競技でもあらゆる組織にとって「高度な基本技」が大事なのだが、それが忘れられつつあるように思う。学校だけでなく、さまざまな領域で教育のあり方を根本的に見直していかなければならない。
子供の頃に読んだ漫画『サスケ』を再び読んでみたくなった。