リーダーなら、人の心を変えなさい

人の心を変えるということは、政治やビジネスの社会、または身近な家族や自分自身に対してでも重要なことだ。しかし、一歩間違えると「洗脳」と言われてしまう。恐ろしいと言えば恐ろしい。考えてみれば、テレビのコマーシャルなどと言うのは身近な「洗脳」と言えるかもしれない。リーダーなら、人の心を変えなさい。 (Harvard business school press)
『リーダーなら、人の心を変えなさい』(ハワード・ガードナー著 ランダムハウス講談社2005年3月刊)は、認知心理学の立場からビジネスマン向けに心の変化の過程について述べられたものである。
事例として登場する政治家たちに触れた部分が面白い。マーガレット・サッチャーは簡潔なストーリーを語り、生き方そのものがメッセージとなった。彼女の強いリーダーシップにより英国は商才と起業家精神を蘇らせることに成功した。彼女は「彼/彼女はこちら側の人か?」と問いかけることによって味方と敵に意図的に二分した。どこかの国の首相の今の動きに似ている。
また、人の心を読む天才であったビル・クリントンについて触れた部分も面白い。
ガードナーはMI(マルチプル・インテリジェンス)を提唱する。
人間の知性は言語知性と論理・数学知性という学校で学ぶもの以外に、規格外のものとして音楽知性、空間知性、身体・運動感覚の知性、ナチュラリストの知性、さらには第三の知性として対人知性と個人内知性の重要性を強調している。
人の心を変えるというのは近未来の技術とでもいうべきものであるが、従来の技術同様に使い方を間違えると不幸をもたらす。その加減が難しい。