フェイクニュースを見抜く

米国トランプ大統領登場のあたりからフェイクニュースという言葉が世界的に広がった。
マスコミやネットという媒体を通じて、おもに政治にかかわるニュースの真偽がとわれる時代になった。
意図的に人心を惑わす情報を提供する場合もあれば、無意識のうちに偏った情報を提供してしまうこともある。情報提供側の対応と同時に、情報の受け手の側も、いわゆる情報リテラシーを高めなければならない。
情報リテラシーを基礎から高めていく一つの方法として「社会心理学」を学ぶことが有効であろう。社会心理学の認知論の中に「確証バイアス(confirmation bias)」という概念がある。自分が主張したい考えを証拠ずけるために、その考えにあった情報だけに注目したり、その証拠を強調するということである。これはものごとを客観的にとらえるには、陥りやすい誤りである。意図的に「確証バイアス」を活用することもあれば、そのバイアスに自ら気づかないということもありうる。
たとえば、購入した商品の評判をネットで調べようとするとき、自分が購入した商品に対する好評価の情報を選択的にみてしまうということなど、誰もが経験していることである。購入商品に対する悪い評価を避けてしまうという心理行動である。
マーケティング・リサーチは心理学の応用である。そしていわゆる世論調査も心理学をベースにしている。設問の立て方や、調査対象の設定のしかたによって異なる結果が出ることはよく知られている。
フェイクニュース問題は、政治分野だけでなく国際関係、軍事、企業経営分野でも重要となってきている。DIAMONDハーバードビジネスレビューの最新号(2019年1月号)もフェイクニュースを特集している。
フェイクニュースに騙されないために社会心理学の基本を知っておくことは有効と思われる。このための格好のテキストとして『社会心理学』池田謙一他、有斐閣、2010年をあげておく。
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社会心理学 (New Liberal Arts Selection)

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